「ミヤネ屋」視聴率バトルで「ゴゴスマ」に敗北。かつて主流だった“攻めのMC”は時代遅れなのか
言い切らないMCに軍配が上がるワケ
一方で『ゴゴスマ』には時代のほうから近づいてきたのか。ずっとソフト路線だったが、それが災いしたらしく、関東に進出した直後の2015年10月4日には0.9%という記録的な低世帯視聴率を記録した。それが9年で常勝『ミヤネ屋』を破るまでになった。 石井氏のMCの特徴は何事も言い切らないところだろう。また、なるべくコメンテーターにマイクを渡しているようだ。コメンテーター同士の舌戦はなく、語気を強めて語る人もいない。 情報・報道番組の流れが変わり始めたのは2010年ごろから。社会の動きに連動する形でテレビに求める人権意識が高まり、番組のコンプライアンス化も進んだからだ。 たとえば、凶悪犯の肉親であろうが、不意にマイクを向けたら視聴者の反感を買う。芸能人への直撃取材も人権侵害になりかねない。ゴミ屋敷の主を責め立てるような報道も難しくなった。
大差はついていないが…
ゴミ屋敷を指導するのは行政の役割であり、犯罪の容疑のない時点でゴミ屋敷の家主を情報・報道番組が干渉するのは筋違いなのだ。ここ10年ほどで情報・報道番組は随分と変わっている。今後、ますますソフト化が進むだろう。 『ミヤネ屋』は首位を奪還するためにスタイルを軌道修正するのか。ただし、視聴率で大負けしているわけではないので、動きにくいはず。思い切ったリニューアルをするなら、大負けしているときのほうがやりやすいのだ。 一部で宮根氏の降板が伝えられているが、現実的な話ではない。そのような声は日本テレビや他局から一切聞こえてこない。そもそも、まだ61歳なのだ。フジテレビ『とくだね!』のMCだった小倉智昭氏(77)は73歳までやった。 『ミヤネ屋』と『ゴゴスマ』の戦いは依然として続くだろう。 <文/高堀冬彦> 【高堀冬彦】 放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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