「2期連続赤字の通信機器事業を黒字に」 法人向けスマホ新モデル 10月以降に投入 京セラ
京セラが、2期連続で赤字が続く通信機器事業の黒字転換を目指し、法人向けスマートフォンを強化している。18日には、法人向けスマホの新モデルを10月以降に市場投入すると発表。医療機関向けを中心としたサービスやアプリケーション開発も強化する方針を打ち出した。 【関連写真】カメラをかざすと薬を特定できるアプリの開発も 同社は2023年5月に個人向けスマホからの撤退を表明。25年3月までに終息させ、法人向けスマホやタブレットに通信機器事業を集約する方針を示した。通信機器事業は23年3月期、24年3月期と2期連続で赤字を計上しているが、法人向けは拡大。通信機器事業本部長の鈴木克彦執行役員は「25年3月期の通信機器事業は黒字になると見込んでいる」と説明する。 黒字転換に向けた起爆剤と位置付けるのが、今回発表した法人向け新スマホ「DIGNO(ディグノ)SX4」。屋内のみの利用や風雨にさらされる現場といった幅広い業界の要望に応じるため、どこでも使えるSIMフリーモデルと、Wi-Fiモデルの2機種を用意した。 使用時は、マスク着用時も含めた顔認証と指紋の生体認証で本人確認を行う。NFC(近距離無線通信規格)を備え、キャッシュレス決済専用の読み取り端末としても利用できる。汚れた際には水洗いできるほか、端末の異常を簡易的に調べるデバイス故障診断機能を新たに搭載した。 端末の一新と合わせて、ソリューション事業のてこ入れも進める。特に医療現場向けでは、スマホのカメラをかざすだけで患者の持参薬を特定できる「薬剤認識システム」をはじめ、スマホカメラで患者の食事量と栄養摂取量が把握できる「食事管理システム」を開発。介護現場でも役立つサービスとして、ミリ波を使い、カメラ映像なしで患者の動きや姿勢を検知する離床センシングや歩行解析システムの研究も進めており、26年にも実用化を目指す。 まずは7月1日から法人向けスマホとタブレットの補償サービスをスタート。自然故障に加え、落下や水没などによる物損故障の場合でも交換端末を無償で届け、顧客企業の業務継続を支援する。
電波新聞社 報道本部