国内患者は10人程度の希少疾患 ローハッド症候群を知ってほしい 病名を知らない小児科医も 「難病指定で未来が変わる」家族の願い
難病指定になることで当事者の未来が変わる
急変後は指先すら動かなかった瑚々ちゃんだが、現在は手足を動かし、笑い返してくれるように。 「回復することはないとしても、成長はしてくれています。私にとって心の支えです」 家族会も、未来さんにとっては心の支えだ。同じ悩みを持つ仲間との交流で救われ、ローハッド症候群の子が学校やアルバイトに行く姿を見ては、希望を抱く。 「娘は脳障害を併発しているため寝たきりですが、ローハッド症候群=寝たきりではありません。他の子たちも入院は多いこともありますが、頑張って日常を送っています」 一方で、ローハッド症候群が指定難病になっていないため、将来に大きな不安を感じる。 「福祉制度を受ける際の説明が難しいですし、ローハッド症候群は症状の出方も重さも様々なので、そもそも福祉制度の条件に当てはまらない子もいます」 指定難病になることは、治療の可能性を広げることにも繋がると未来さんは話す。 「ローハッド症候群は自己免疫が関係しているであろうことから、免疫治療が有効な例もあります。でも、今は指定難病として治療が受けられないので自費になりますし、そもそも治療許可がおりないこともあります」 なお、瑚々ちゃんの場合は人工呼吸器を装着していることから、勤務中の預け先を探すことが難しかった。未来さんはリスクを覚悟し、遠くのショートステイを利用するようになったが、都会でなくても病気や障害を持つ子を安心して育てられるよう、福祉制度が整ってほしいと願っている。 「病気でも障害があっても、その子は普通に生きる権利があるひとりの人間。自分のやり方で感情を受け取ることもできるし、伝えることもできます」 産まれてからずっと、我が子は宝物。そう思い、娘を愛し続ける未来さんと頑張り屋の瑚々ちゃんが今より笑顔になれる未来の在り方を、一緒に考えていきたい。 (まいどなニュース特約・古川 諭香)
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