【大学選手権】日大三→早大のルーキーが公式戦8試合連続無失点 凄腕スコアラーが「初見で攻略は困難」の“魔球”とは
◆報知新聞社後援 第73回全日本大学野球選手権▽準決勝 早大4―3東日本国際大=延長10回タイブレーク=(15日・神宮) 準決勝が行われ、早大(東京六大学)と青学大(東都大学)が決勝に進出した。早大はタイブレークの末、東日本国際大(南東北大学)を下した。9回から登板した1年生右腕・安田虎汰郎が“魔球”チェンジアップを武器に2回を無失点に封じた。16日の決勝で早大は9年ぶり6度目、青学大は2年連続6度目のVを目指す。 ミットを見つめ、首を横に振った。安田が勝負球に選んだのは、チェンジアップだった。リードは1点。延長10回2死一、二塁のピンチ。山本迅斗を2―2に追い込むと、105キロの“魔球”を高めに投じた。見逃し三振。ゲームセットだ。勝利投手になったルーキーは右手を突き上げ、ほえた。 「生きた心地がしない中での投球でした。チェンジアップは自分の存在意義。投げなかったら自分はいる意味がない。投げないで打たれたら、悔いが残る。『初見でこの球を打ってみろ!』という気持ちでした」。早大入学後、リーグ戦から公式戦8試合、10回1/3を無失点。「目の前の一人一人に全力で勝負した積み重ねです」と笑った。 100キロ台前半で独特の軌道を描くチェンジアップは日大三時代、同校を11年夏の甲子園Vに導いた吉永健太朗さんに、握りを学んだ。東京六大学のすご腕スコアラー陣が「初見で攻略は困難」と語る“魔球”だ。決勝で対戦する青学大の主砲・西川史礁(4年)とは昨夏に高校日本代表対大学日本代表で対戦。最後は直球で3球三振に仕留めた。「チェンジアップで特大ファウルを打たれたので、警戒したい」と再戦を心待ちにした。 自身を「肝っ玉ルーキー」ではないと言い切る。「普通に緊張してます。だから願掛けしないと」。映画「男はつらいよ」の大ファン。大会前は柴又帝釈天に参拝した。「自分も“虎さん”なんで」。父・剛さんは高校時代、国体400メートル障害で日本一に輝いた。「父に続きたい。自分は1年生。捨て身で、当たって砕けろです」。いざ決勝。ラストシーンは、最高の笑顔で迎える。(加藤 弘士) ◆安田 虎汰郎(やすだ・こたろう)2005年5月27日、千葉・鴨川市生まれ。19歳。日大三では2年秋からエース。3年夏の甲子園では1回戦の社戦で完封勝利。16強に進出。侍ジャパン高校日本代表に選出。祖父・正二さんは千葉・安房小湊で伊勢エビ漁を営む。好きな有名人は玉置浩二。好きな投手は小山正明、村山実、稲尾和久。176センチ、77キロ。右投左打。
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