なんと154兆円も儲かっていた…!日本の「年金運用」がここにきて絶好調な「本当のワケ」と、アベノミクスとGPIFがもたらした「株高の真実」
国民全員が「株高の恩恵」を受けている
今年、世界や日本の株式は大きく上昇している。この恩恵を幅広く受けているのは、実は国民だということをぜひ、多くの方に知っていただきたい。 【マンガ】「憧れのタワマン生活」が一転…低層階に住む家族が味わった「格差の現実」 その顕著な例が、GPIFの運用成績(年金積立金管理運用独立行政法人)である。 前編「故・安倍晋三首相の決断は正しかった…たった1年でなんと45兆円!日本の「年金運用」が国民に与えた利益の「巨額すぎる中身」」でも紹介したが、7月5日、GPIFは2023年度の運用状況を発表したが、昨年度の1年間に45.4兆円の黒字で過去最高だった。 日経平均株価が1989年に記録した最高値を約34年ぶりに更新したのは、2月22日のこと。証券会社や経済系のメディアは歓声をあげ、新NISAへの注目も高まった。一方で、多くの国民は、「庶民には恩恵がない」と冷ややかな反応だったことが印象的だった。 では、年金の財源となるGPIFの運用成績を見れば、皆さんの印象は変わるだろうか。 日本が年金の市場運用をはじめたのは2001年。06年にはGPIFが発足し、これまでに約153兆8000億円の収益を上げている。実は、GPIFが昔から好調な運用成績をあげていたわけではない。好調になったのは株高を指向するアベノミクスが始まって以降である。
GPIFとは何か?
政府がGPIFに預けたお金は運用寄託金と言われ、それが運用によって増加した(または減少した)結果の残高は、運用資産残高と呼ばれる。運用残高と運用寄託金の差額が運用による利益(ただし、実現した利益ではないので含み益。以下。含み益とする)となる。ただし、含み益の一部は実現して国庫納付している。 すなわち、 運用資産残高-運用寄託金=含み益-国庫納付金 となる。 含み益と国庫納付金がGPIFのもたらした運用益である。これらの数字を示したのが表1である。 まずは、GPIFが発足した2006年からアベノミクスの始まる前の2012年度(安倍内閣は2012年12月発足なので多少のずれがある)までの運用益を考えよう。 運用寄託金は毎年の寄託金の投入が残高として示されている。 したがって、2012年度の資産運用残高は120.5兆円と運用寄託金106.7兆円の差13.7兆円(120.5-106.7)が含み益である(数字が合わないのは四捨五入のためである。文章中の数字は表1に基づく、以下同)。 これと2006年度から12年度までの国庫納付の累積額6.1兆円の合計19.8(13.7+6.1)兆円が2006年度から2012年度にかけての運用益である。 次に、アベノミクスの始まった2012年度から2023年度を考える。2023年度の資産運用残高は246.0兆円、運用寄託金は114.7兆円(財務省から公表されるデータであるが、まだ公表されていないので前年度と同じとした)、含み益は131.3兆円(246.0-114.7)となっている。この含み益と2013年度から23年度までの国庫納付の累積11.5(17.6-6.1)兆円の合計142.8兆円がGPIFの運用益である。 アベノミクス以前は19.8兆円、アベノミクス以後は142.8兆円の利益である。これはアベノミクスのもたらした株高による大きな恩恵である。 GPIFは国内債券、国内株式、外国債券、外国株式などで運用されているが、その利益のかなりの部分が国内株式の上昇から来ていることは明白である。