TSMCとSMICの株価格差、中国半導体産業の育成難航浮き彫り
(ブルームバーグ): このところ株価が急伸している台湾積体電路製造(TSMC)と、年初来でマイナスの中国最大の半導体メーカー、中芯国際集成電路製造(SMIC)の株価の年間騰落率の格差は2005年以来最大となる勢いだ。中国政府が取り組む国内半導体産業育成の難しさを浮き彫りにしている。
最先端の半導体製造技術などが評価され、台湾株式市場でTSMCは今年に入って48%上昇。一方、香港市場でSMICは今年7.5%下げている。米国が中国半導体産業の成長抑制を図る中、中国は同産業の育成に向け同国最大の半導体基金である「国家集成電路産業投資基金」第3号、いわゆる「大基金3」を5月に設定したものの、株価ギャップの縮小には至っていない。
北京の投資銀行、香頌資本のディレクター、沈萌氏は「たとえ潤沢な資金があったとしても、SMICの技術力は一朝一夕には高められない」と指摘した。
中国は現在、商業生産されている最先端の半導体より2世代前の回路線幅7ナノメートル(nm)のチップは製造可能であり、米規制の中で5ナノを目指している。TSMCは極端紫外線(EUV)露光装置を使って3ナノチップを製造しているが、同装置は輸出規制により中国に販売できない。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、チャールズ・シュム氏は「SMICが5ナノ技術でチップを製造できたとしても、EUV露光装置を使わないで製造するコストはTSMCの少なくとも10倍になるだろう」と推定し、「技術格差とはあるレベルに到達できるかどうかだけでなく、いかに効率的に達成できるかでもある」と指摘した。
中国政府は大基金3の詳細をほとんど公表していないが、投資家は業界の問題解決に寄与すると期待している。
原題:TSMC’s Premium Over SMIC Shows Challenges for China’s Chip Fund(抜粋)
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