『室井慎次』新城、沖田、緒方、森下「踊る大捜査線」メンバー再登場の裏側【ネタバレあり】
緒方の走りは「初夏の交通安全スペシャル」より速く
映画2作目『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』から参加した真矢ミキは、新城とともに室井をサポートする警視庁官房審議官・沖田仁美を再演。電話1本でトップダウンする様子が描かれるが「最高にカッコいいですよね」と本広監督はうれしそう。「真矢さんは『踊るがあったからいまがあるの』と言ってくださって、今回ものびのびと楽しくやってくださいました」と感謝をささげる。 室井を象徴するアイテムでもあるヘリコプターで登場するのは、甲本雅裕演じる緒方薫。「甲本さんはコメディーのセンスがよくて、さすがだなと思いました」という。「踊る大捜査線番外編 湾岸署婦警物語 初夏の交通安全スペシャル」で見せた独特の走りを踏まえ、「あのときより速いやつ」とオーダーし、「石がゴロゴロしてるから気を付けてください」と言ったそばから、甲本が足を痛めてしまったとか。「本当だったらもっと遠くから走ってくるはずだったのに『笑いが半分切れちゃった』と悔しそうでした。でも、室井にちょっと慇懃(いんぎん)無礼な感じで話しかけるのも、ぜんぶコメディーなんです」
また、緒方のライバル的存在だった森下孝治役は遠山俊也だ。室井と同郷で、かつてきりたんぽを食べる約束をしていた森下は、秋田の刑務官として室井と再会する。「遠山さんには人情系の感動を担っていただきました。室井さんと里子の森貴仁(齋藤潤)のシーンでは、第三者の視点があったほうが見てる方の感動の誘導になる。そこを遠山さんにお願いしたら、あの眼差しの芝居をしてくださった。すごくいいシーンになりました。おそらく、あそこが『敗れざる者』のクライマックスなんです」
「踊る」メンバーに負けない新キャストの力
その貴仁役の齋藤は、本広監督がオーディションで会う前日に、山下敦弘監督の『カラオケ行こ!』を観たことで「どんな手を使っても彼を貴仁にするんだと決めて、すぐに事務所にご連絡しました」と起用を熱望したとのこと。「貴仁がバーッと啖呵を切るシーンは最初の台本にはなかったんです。君塚さんにお願いして入れてもらったら抜群によくて。彼はすごい透明感で、いましか出せないオーラがあるんです。最初はおどおどしたけど、ラストに向かってすごくよくなっていきました。彼が納得いくまで何度でもやってもらいました。きっといい俳優になります」とべた褒めしていた。 本作のダークヒロイン的なキャラクターは、福本莉子演じる日向杏だ。「踊る」史上最悪の猟奇殺人犯・日向真奈美(小泉今日子)の娘という難役だが、「莉子ちゃんは社交性があってわきまえてるし、芝居もすごく面白くて。誰かの演出をしてると、奥で莉子ちゃんがずっと1人で何か芝居してるんですよ。これは挑戦だと思いました」と福本の芝居に触発されて演出を変えた部分があることを打ち明けた。「杏は周囲を蹴落としても自分を守りたいマニピュレーター(=潜在的攻撃性人格障害)なんだよとお伝えして。母親役の小泉さんに会ってもらって、圧倒的オーラを感じてもらいました。そんないろんな材料を全部ご自分の中で解釈して、芝居してました」とこちらも絶賛だ。