全国へ広がる「救急車有料化」の真相は?「半数が不要な搬送」な街から始まった大変化…今や「県単位」医療制度の何がどう変化したのか
1回の利用で「1万円台」も
救急車で搬送された患者が、実は「入院を必要としない軽症者だった」というケースが、増加しています。 そんななか、救急車利用の「実質有償化」が一部の自治体で始まっています。どのような仕組みなのでしょうか。 【画像】信じられない…!? これが本当にあった「救急車の誤った利用例」です! 画像で見る(27枚)
救急車の出動件数は、総務省の2023年度の速報値で、「集計開始以来最多」となる「763万7967件」にのぼったと報告されました。 全国で約4.1秒に1回、救急車が出動している計算になります。 ちなみに救急車が1回出動すると、これまでの実績をふまえた全国平均で4万5000円の経費がかかるとされています。 それから最新の「単純計算」を算出すると、搬送にかかる年間費用は、約3437億円にのぼることとなります。 人命救助のための救急車ですから、日本では公費が投入されています。しかし緊急性がきわめて低い軽症・軽症にもかかわらず、タクシー代わりに救急車を自宅などに呼び、病院へ搬送している人が増加しているという報道も出ています。 例えば、一般的な風邪の症状と同じ発熱、頭痛や指先を刃物でちょっと切って血がにじんだといったレベルで、それこそ自分でタクシーを呼んで病院へ行けるような軽症者が、救急車を呼んで緊急搬送してもらっているようです。 たとえば茨城県は県の公式サイト内で「救急隊は原則搬送しなければならず、搬送を拒否することはできません」と説明しています。 なぜならば、電話口では「それ救急車なんかいらないでしょうが!」と突っぱねる判断が難しいため、まずは受け入れる(駆けつけて搬送する)しかないのです。 多額の税金が投入されている事実を考えると、これに疑問を持つ人は少なくありません。 2024年7月27日付の東京新聞の報道によると、三重県内で2023年に発生した救急車出動は14万3046件(速報値)で、そのうち「約半数」にのぼる6万8549件が「入院を必要としない軽症者」であったといいます。