問題ある「世論調査」まで用いて内乱をかばう韓国の極右・保守メディア
一部メディア「尹支持率40%突破」誘導報道 言論連帯「その世論調査は問いからして非常識」 8言論団体「内乱同調報道・論説」やめるよう要求
一部の極右・保守メディアが公正さと客観性の疑われる世論調査結果をもとに、内乱容疑者尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の擁護を試み、社会的対立をあおっている。このような指摘が言論団体から相次いでいる。 言論改革市民連帯(言論連帯)は6日に発表した「尹錫悦の支持率が上昇した世論調査、意図は何か」と題する論評で、「正当な逮捕状の執行に応じなかった内乱首魁(しゅかい)尹錫悦の支持率が上がっているとの報道が相次いでいる。アジアトゥデイの世論調査をもとに作成されたこのような報道は、社会対立を増幅するという点で、深刻に懸念される」と述べた。 アジアトゥデイは5日、韓国世論評判研究所(KOPRA)に委託して3日から4日にかけて全国の満18歳以上の男女1000人に対して実施した世論調査で、尹大統領の支持率が弾劾後初めて40%を「突破」したと報道した。文化日報、韓国経済、TV朝鮮、マネートゥデイなどの一部メディアも、同世論調査の結果を引用報道した。このような記事の見出しや小見出しには「尹支持率、戒厳後初の40%突破」、「変化した世論」、「20~30代で支持率上昇」などの、肯定的な表現が主に使用された。 言論連帯はこの世論調査結果について、「この世論調査は、質問項目そのものに問題が多い」とし、「アジアトゥデイは『公捜処による現職大統領の強制連行』という項目で『あなたは尹錫悦大統領の逮捕状は違法だとの批判があるにもかかわらず公捜処が現職大統領を強制連行することについて、どう思いますか』と尋ねている。前提が誤っており、質問が間違っている」と指摘した。続けて「尹錫悦の逮捕状は裁判所による正当な法の執行だ。現時点で韓国社会に必要な質問はむしろ、公捜処の正当な出頭要請を拒否し、逮捕状の執行を阻む尹錫悦と警護処の公務執行妨害に関する内容であるべきだった」と指摘した。 言論連帯はさらに一歩踏み込んで、アジアトゥデイの調査は尹大統領が12・3非常戒厳宣布の大義名分として掲げた「不正選挙疑惑」を公論の場に引きずり出すという意図さえあらわにしていると主張した。言論連帯は「尹錫悦の主張する『不正選挙』の可能性はすでに韓国社会で何度かの検証を経ており、解消されていると考えるのが正しい」として、「しかしアジアトゥデイは選管の電算システムのハッキング、不正選挙の可能性に言及しつつ、公開検証の必要性を質問項目に入れ、不正選挙疑惑の提起を処罰する法案の賛否を問うている」と述べた。 中央選挙世論調査審議委員会に提出された同世論調査結果の報告書を見ると、調査対象者の44%は「あなたは尹大統領が非常戒厳宣布の理由として述べた中央選挙管理委員会の電算システムのハッキングおよび不正選挙の可能性についての疑惑の解消のために、選管委の選挙システムの公開検証が必要だと思いますか? 必要ないと思いますか?」との問いに「(検証が)必要だ」と答えている。この世論調査に応じた回答者の40%以上が「不正選挙論者」である可能性があるということだ。 全国言論労働組合、放送記者連合会、韓国PD連合会、韓国記者協会、韓国映像記者協会などの8つの言論現業団体もこの日午後、記者会見を行い、12・3内乱に同調するかのような一部メディアの報道および論説の実態を告発し、公正な報道を求めた。 これらの団体は、アジアトゥデイのこの世論調査を遂行したKOPRAが主に保守系のユーチューブチャンネルおよびメディアの調査を受託してきたこと、代表の経歴も特定政党と無関係ではないこと指摘しつつ、「このかん、主要選挙の支持率と社会世論調査は規模があり調査経験が豊富であることで客観性が確保されている機関に任せて報道してきたことを忘れたとすれば、今回の記事には『傾倒した意図』が内包されている可能性が高い」と主張した。 これらの団体は「KOPRAの支持率調査については、『短期間での大規模対象』調査に適合しない方法である『ランダムデジタルダイヤル(RDD)抽出とARS質疑応答』が用いられているため、信頼性が非常に低いとの指摘もある」として、「公正さと客観性の疑われる世論調査結果を検証なしに伝えることで、読者に対して『内乱首謀者・尹錫悦の支持率40%』の混乱を招くのは問題だ」と述べた。 チェ・ソンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )