堀海登、俳優人生のターニングポイントはBL作品への挑戦「とても楽しく作品作りができた」
『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』、『青山オペレッタ THE STAGE』など数々の人気作への出演経験を持つ堀海登。直近ではドラマ「コスメティック・プレイラバー」(フジテレビ)に出演するなど、映像作品でも精力的に活動している。そんな堀が芸能界に入った理由や自身のターニングポイントとなった作品、そして目指す俳優像についてなど広く語ってもらった。 【写真】力強い視線の堀海登 ■デビュー公演での悔しさが俳優人生のはじまり ――なぜ芸能界に興味をもったのでしょうか。 学生の頃からずっと三浦春馬さんが好きで、出演作をたくさん見ていました。それが芸能界に憧れを抱いた最初のきっかけだったと思います。 そして、地元の埼玉から東京に遊びに来た中学2年生のときに、複数の事務所さんからスカウトをしていただいたのも理由のひとつです。ただ、当時はサッカーに夢中だったこともあり、芸能界での活動は想像していませんでした。 でも、中学3年生のときに、ずっと目指していた浦和レッズユースのセレクションに落ちてしまって。サッカー以外の道を考えたときに、頭に浮かんできたのが芸能界だったんです。 ――そのときから、俳優の道に進むという意思をもっていたのでしょうか? いえ、最初はスカウトもしていただいたし、芸能界という道もあるかも、という軽い気持ちでした。事務所に所属したあとは、お芝居、モデル、声優、歌などのさまざまなレッスンを受けさせていただき、その中で一番楽しいと感じたのがお芝居で。そのときに「もしかしたら僕は、この道に進むのかもしれない」と思いました。 ――堀さんにとっての初舞台は、トータルエンターテイメント集団・Candy Boyのデビュー公演になりますね。 デビュー公演は本当に緊張しました。お客さんたちからは「よかったよ」という言葉をいただいてはいましたが、自分の中では不完全燃焼というか、もっとやれたんじゃないかという心残りがあったんです。悔しい部分がいっぱいあったからこそ、次の公演のときは100%の準備をしようと決意しましたし、そこからどんどん芝居を追求して、のめり込んでいった気がします。 ――もし、そこで悔しい思いをしていなかったら? お芝居自体をなめてしまって、ここまで続けられていなかったかもしれないですね。だから、本当にあのデビュー公演が分かれ道だったと感じています。 ■演じる上で大切なのは「台本に描かれていない部分まで追求すること」 ――その後、2018年に上演された『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』で初めて2.5次元作品に挑戦されました。 情報解禁されたときに、ものすごい反響があってとても驚きました。しかも、その座組にはキャストが31人いたのですが、僕は当時17、18歳ぐらいで最年少だったんです。他のキャストは前作からの続投でしたが、僕だけが唯一キャスト変更からの初参加だったので、本当にいろいろなプレッシャーがありました。 でも、『あんスタ』にはCandy Boyで一緒に活動していた奥谷知弘くんも出演していて、奥谷くんが寄り添ってくれていたから、なんとか乗り越えることができたなと思っています。 ――堀さんは現在、舞台だけではなく映像作品でも活躍されていますが、俳優業のやりがいや魅力はどういうところに感じていますか? ファンの方、視聴者の方、同じ業界の方に評価していただけたときにやりがいを感じます。 あと、役作りをする上で一番大切にしていることが、演じる役の台本には描かれていないダメなところや悪いところ、つまりは人間くさい部分にもしっかりと向き合うことなんです。例えば、どんなに優しい人物であっても、満員電車がしんどいと感じることもあるだろうし、この人の話長いなと感じるときもあると思うんです。そういう部分を深掘りして役作りしていくのがすごく好きなので、そこを現場で監督さんやスタッフさんに気付いてもらえるととてもうれしいですね。 ――お話を聞いていると、何事も突き詰めるタイプなのかなと。 好きになったことに対してはそうかもしれないです。最近だと、麻雀が好きで(笑)。時間があればプロの方に対局してもらっていますし、プロの資格を取りたいなとも思っています。いつか麻雀が舞台となる作品が立ち上がったときに、雀士を演じる俳優として一番に名前が上がるようになっておきたい。好きなものすべてが俳優・堀海登につながればいいなと思っています。 ――スイッチが入ったら、一直線に進んでいくんですね。では、今熱中しているものは麻雀ですか? そうですね。最初はアプリで麻雀をやっていたのですが、ルールを覚えたあとに、雀荘に行ってみたんです。そうしたら、ボコボコにされてしまいまして(笑)。そこで「悔しい!」と思ったのが、ここまでのめり込んでいる理由ですね。 ――初舞台での悔しさ同様、“悔しいスイッチ”が入ってしまったんですね。 麻雀界で神様のような存在のプロ雀士・多井隆晴さんという方がいらっしゃるんですけど、多井さんの麻雀講座をすべて見て、麻雀牌の研究をして、最近やっとプロの方と対等に戦えるようになりました。いつか多井さんをはじめとする憧れのプロ雀士の方々と対局してみたいですね。 ■目標はゴールデンタイムでの主演 ――これまでの俳優人生の中で、ターニングポイントとなった作品や出来事はありますか? 2023年に初めてBL作品に挑戦させていただきました。「佐原先生と土岐くん」(MBS)というドラマだったのですが、監督さんもキャストも若い世代が多いチームだったこともあって、とても楽しく作品作りができたと感じる現場だったんです。 ――具体的には、どういうところでしょうか? 全員がBL作品に触れたことがなかったというのもあって、「このシーンはこうしたらきれいに映るのではないか」など、キャスト、監督、スタッフ全員で話し合いをしながら作っていったことですね。これまで現場では、監督さんに指示をいただいて、そのリクエストに応えるというやり方が多かったのですが、「佐原先生と土岐くん」 ではどう表現したらいいのかを自ら考えることができたので、とても新鮮でした。 ――役作りをする上で新しい挑戦ができたんですね。 あと、撮影現場が長野県の山奥だったのですが、キャスト全員で同じ宿に泊まっていたので、ずっと寝食を共にしていて。夜な夜な台本の読み合わせをしたり、ときには一緒にお酒を飲んだりと、部活の遠征をしているような感覚でとても楽しかったんです。この作品をきっかけにいろいろなBL作品にも呼んでいただけるようになりましたし、俳優としても幅を広げてくれた作品だったと感じています。 ――これまで共演した方の中で、特に影響を受けた俳優さんはいますか? 5月にSENTRAL PRODUCE「逆転満塁サヨナラ、またね。」という舞台で主演をやらせていただいたのですが、そこで共演した山本裕典さんです。そもそも、山本さんは僕が学生の頃に見ていたさまざまなドラマに出ていた方。当時からとてもお芝居が上手な方と思っていましたが、実際に稽古場で一緒にやらせてもらっているときに、レベルがまったく違うんだと感じました。 ――現場では、山本さんとお芝居について話すことも? たくさんお話させていただきましたね。お芝居についての相談もしたのですが、とても親身に話を聞いてくださって。自分の中で芝居とは何なのかという答えが見えてくるようなアドバイスもいただけて、本当に感謝しています。普段は少しお茶目な印象の方ですけど、お芝居に入った瞬間に、誰よりも真剣に自信を持ってやられているので、そのギャップが格好いい。僕も山本さんぐらいの年齢になったときに、後輩からそう思われる俳優でいられるようになりたいと強く思いました。 ――最後に、俳優としての目標についても教えてください。 地上波の連ドラで主演をやりたいです。最近はネット配信のドラマも主流にはなってきていますが、やっぱり学生の頃にテレビドラマを見て芸能界に憧れを抱いたので、ゴールデンタイムでの主演を目指していきたいです。 ◆取材・文=榎本麻紀恵