医療的ケアが必要な息子と初のディズニー「安心感があった」親の思い おでかけの難しさ
重い荷物が欠かせないお出かけ
篠原さん夫婦はこの日、朝5時過ぎに起き、凛太朗さんの朝食を準備したり、たんの吸引などケアを万全にしたりしていました。 自宅からテーマパークまでは介護タクシーを利用しました。車いすには、人工呼吸器や加温加湿器、酸素ボンベ、たんの吸引器、おむつ、着替えなどお出かけ用の荷物を載せます。荷物だけでも10kgを超えるほどです。 外出先では、顔色が悪くなっていないか、誤嚥(ごえん)していないかなど常に不安がついて回ります。 しかし、篠原さんは「行く前は外出先で何かあったらどうしようという心配がありました。でも、いつも息子をみてくれている先生たちがいる安心感はとても大きかったです」と話します。 仮に家族だけでテーマパークへ行く場合、乗れるアトラクションや巡るルート、救護室・トイレの場所、車いすで入れるレストランなどを事前に細かく調べ、万が一にも備えておかなければいけません。 今回の遠足では保育園のスタッフが下調べをしていたほか、看護師が付き添ってくれているため気負わずにいられたという篠原さん。夫とも「息子と楽しい時間を過ごすことに専念できた」と話していたそうです。
2カ月ほど前から準備
保育園では、ディズニーランド内でのアトラクションやルート、レストランについて遠足の2カ月ほど前から下調べをしていました。 事前にパンフレットを取り寄せてバリアフリー情報を確認。車いすや医療機器があっても楽しめるアトラクションをリストアップし、最終的には、下見で現地のスタッフに確認して決めたといいます。 また、子どもたちに慣れておいてもらおうと、遠足前の保育中からアトラクションを意識してディズニーの音楽や風を感じる遊びを採り入れていたそうです。 当日は、家族がアトラクションに並ぶ前に保育スタッフの一人が先回りし、ランドのスタッフに車いすの子どもが複数来ることを伝えたため、スムーズに入ることができたといいます。 食事はペースト食を提供してくれるレストランを選び、到着の時間を伝えていました。席は事前にボランティアやスタッフが昼食をとりつつ確保していたそうです。 保育園の園長は、「当日になるまで読めないことも多く不安もありましたが、スタッフ同士で臨機応変にやりましょうと話していました。日々大変な子育てをしている保護者の方々にも楽しんでもらいたいと思っていました」と振り返ります。 にぎやかな空間でしたが、「みんなすごく楽しんでいて、落ち着いて過ごしていた」といいます。 お昼ごはんを食べて解散した後は、パレードを見たり、別のアトラクションを楽しんだりする家族もいたそうです。家族をサポートするため、スタッフもランド内に待機していました。 園長によると、以前からディズニーランドへの遠足を望む声はありましたが、予算などの関係で実現できずにいました。今回は、外資の保険会社からの寄付があったため、移動にかかる費用や人件費などをまかなえたそうです。