花冷え。、全5都市巡るツアーファイナルZepp Shinjukuで魅せた成長
もう一段上のクラスに到達したラップメタルチューン
「ぶっちぎり東京」「GAMBLER」「いとをかしMyType」といった新曲群も、既発曲と遜色ないクオリティで魅せてくれた。それに呼応するかのようにフロアの盛り上がりも常にピークを突いていた。花冷え。という世界でも例を見ないメタルバンドのパフォーマンスに、以前の国内ファンはまだ探り探りといった場面が見受けられることもあったが、この日はバンドとがっぷり四つになり、気持ちのいい混沌を生み出していた。育っているのはバンドだけではなかったのだ。 バンドとしてのステージが明らかに変わったと感じたのは、「我甘党」や「令和マッチング世代」といった初期の代表曲だ。今年も世界中を揺らしてきた「我甘党」はイントロが鳴った瞬間に鳥肌が立ち、「令和マッチング世代」の極限まで音を削ったアンサンブルは実はこの日一番ブルータルかつ、グルーヴィな仕上がりだった。これはヘッツとチカによるリズム隊の力がかなり大きい。ユキナのラップもこの2人に絡み合うようにスピットされる。新たに生まれ変わったかのようなこの曲が、ラップメタルチューンとしてもう一段上のクラスに到達したのを感じた。 ライブ中盤では、フロアのクールダウンも兼ねて、各メンバーに対する質問をフロアから募る「ギルティー質問タイム」を行った。「メジャーデビューして一番よかったことは?」「今までつくってきたなかで出来たときに一番ガッツポーズした曲は?」「世界を回ってきて一番の思い出は?」といった質問に真摯に答えていくメンバーたち。つかの間のおだやかな時間となった。なぜこういった時間を設けたかというと、クールダウンのためだけではなく、こういった時間は日本でのワンマンでしか作れないからだとユキナはいった。世界を駆け回るバンドらしい理由に少しグッときた。バンドがファンとの交流をいかに大事にしているかがよくわかる時間だった。ファンの声はストレートにバンドの力になるのである。ちなみに、「ファン」とひと言でくくってしまったが、この日も花冷え。を観るために世界中から人々が集まっていた。フランス、カタール、スウェーデン、シンガポール、オランダ、中国、アメリカ……収集がつかなくなって、ユキナが「サンキュー・ソー・マッチ!」と打ち切るほどだった。こんなところからも世界での花冷え。人気を感じる。 本編ラストは「心も体も元気で! また来年もライブハウスで一緒に遊びましょう!」とユキナが呼びかけたあと、「L.C.G」「お先に失礼します」と畳み掛けて終了。アンコールでは、ホーン隊を迎えた「今年こそギャル~初夏ver.~」でいつも以上の華やかさでフロアを彩ったあと、「Want to TIE-UP」で幕を閉じるのだった。フロアに降り、観客の上に上がったユキナは「最後まで声聞かせてくれ!」「本当にありがとう!」と心から絶叫。その切実さは世界を回ってきたからこそ胸に響くのだった。 2025年、花冷え。はアメリカツアーを行うことがすでに決まっている。4人の快進撃が落ち着くことはしばらくないだろう。彼女たちを求める声は日に日に高まっているのだ。 Text by 阿刀”DA”大志 <リリース情報> 花冷え。 ニューシングル『おいしいサバイバー』 2025年3月12日(水)CDリリース 期間生産限定盤:CD+Blu-ray | ESCL6071-6072 ¥2200(税込)※2026年2月25日までの期間生産 CD SHOP DL&STREAMING 花冷え。
Rolling Stone Japan 編集部