石川知事「新たな世界を切り開いていきたい」…輪島塗復興へ人材養成施設、県が設置発表
石川県は6日、能登半島地震で大きな打撃を受けた輪島塗の復興に向け、将来的な担い手となる若手人材の養成施設を官民の協力で同県輪島市に設置することを正式に発表した。2027年度の開設を目指し、人材輩出により伝統工芸の継承を支えるとともに、海外発信や販路開拓の拠点としても活用する方針だ。
養成施設の設置は、輪島塗の復興に向けた「官・民・産地共同プロジェクト」として、伝統工芸の振興に取り組む読売新聞社と、同県内で産学官の震災復興会議を主導する北国新聞社(金沢市)が協力し、同県や輪島市、経済産業省などとワーキングチームを作って検討を進めてきた。
馳浩知事は同日の年頭記者会見で、本紙などの協力に「感謝申し上げる」とするとともに、「輪島塗の新たな世界を切り開いていきたい」と述べた。
輪島塗の産地である輪島市では、昨年の地震で多くの工房が火災や倒壊の被害に遭った。若手を中心とした人材の流出が懸念されていることを踏まえ、養成施設では40歳以下の若者を年間5人程度受け入れ、約2年かけて輪島塗の制作に必要な技術を習得させる。卒業生を雇用する輪島塗事業者には、奨励金を3年間交付することも検討する。
県はプロジェクト推進に向け、25年度に基本構想の策定委員会を設置し、養成施設の整備主体や規模、カリキュラムなど、計画の具体化に着手する。