愛工大名電が5年ぶり2度目の選手権に王手! 3年目で越えた“準決勝の壁”…序盤から作戦奏功で東邦を3発撃破:愛知
[11.3 選手権愛知県予選準決勝 東邦高 0-3 愛工大名電高 ウェーブスタジアム刈谷] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権愛知県予選準決勝が3日に行われ、東邦高と愛工大名電高が対戦。MF蒲地壮汰(3年)のゴールを皮切りに得点を重ねた愛工大名電が3-0で勝利し、5年ぶり2回目の選手権出場に王手をかけた。 3年連続での準決勝進出を果たした愛工大名電だが、昨年、一昨年と2年続けて準決勝の壁を破れなかった。今年は昨年から試合に出ていた選手も多く、この一戦にかける想いは強かったという。「去年は1-0から名古屋に逆転されて負けた。試合に出ていた選手もいるし、スタンドから見ていた選手もピッチに立っている。あの悔しさを全員が持っていたので、気持ちの入り方が違った」。そう口にするのはDF蒲地陽汰(3年)だ。 リベンジにかける想いは強く、セカンドボールを拾ったMF三岡優(3年)のミドルシュートで幕を開けた一戦は序盤から愛工大名電のペースで試合が進んでいく。「向こうのDFラインをどんどん走らせてしんどい想いをさせたかった。空中のボールは風に乗って難しい。慣れてくる前に押し込みたかった」。そう明かすのは宮口典久監督で、風下に立った優位性を生かし、ボールを持ったら素早く前線に展開。高い位置でセカンドボールを拾って、相手陣内でチャンスを伺った。 5分にはDF山崎瑛太(2年)が入れたロングボールから、FW杉本悠悟(1年)がシュート。8分には相手のクリアボールをMF江川敦哉(3年)がヘディングで跳ね返し、杉本がゴールを狙うなど積極的に相手ゴールに迫ると試合が動いたのは19分。後方から入れたロングボールをMF斉藤騎士(3年)がヘディングでPA内に展開すると反応した杉本が倒され、PKを獲得した。キッカーに名乗り上げたのは蒲地壮。冷静にゴール右隅に決めて、愛工大名電が幸先の良いスタートを切った。 後半に入ってからもパワフルな攻撃を仕掛け続けた愛工大名電の圧力は落ちない。後半6分には左サイドを仕掛けたDF野波伸真(3年)がクロスを入れるとゴール前で待ち構えたFW水野桜介(3年)が打点の高いヘディングで合わせて、東邦を突き放した。 2点目を奪ってからは東邦にボールを持たれる時間が増えたが、宮口監督は「途中から相手が回し始めたけど、うちは前から守備ができるので“もらった”と思った」と振り返る。 思い切りの良い突破を繰り返したMF山端寧生(3年)と身体能力の高さを生かしたプレーを見せたFW永井望夢(2年)の仕掛けを受ける場面も見られたが、愛工大名電の選手に動揺は見られない。「永井と山端は愛知県の中でも強烈なので、どの高校も受け身になってしまうと思うのですが、だからこそ自分たちは逆を付きたかった。あの2人が守備で疲れるぐらい、自分たちがストロングを出し続けようと狙っていた」。そう振り返るのは蒲地陽で、前半同様ボールを持ったら素早く相手エリアに入れて押し返していく。 試合終了間際の80分に前がかりになった相手の隙をカウンターで突き、FW末永大晴(3年)のパスからMF中根陽向(1年)が3点目をマーク。インターハイ王者を完勝とも言える試合内容で下し、5年ぶりの2度目の選手権出場に王手をかけた。 今年の愛工大名電はリーグ戦で勝てない時期が続いていた。夏休みの遠征でも勝てないどころか、紅白戦でBチームに負けることもあった。「昨年が上手く行っていたから今年もと甘えていた雰囲気がずっとあった」と振り返るのは蒲地陽。スタッフからは「普段の練習で、なぜスライディングが出ないんだ」、「グラウンドが土だから、スライディングできないのか?」とスタッフに厳しい言葉をかけられたこともあったという。 苦しい夏を乗り越え、戦う姿勢が身に付いてきたことに加え、今大会の勝ち上がりも選手たちの成長を促進させている。「成長しているのは人間性というか、粘り強さ。大会が育てている。やっぱり子どもなので諦めてしまう瞬間があったけど、何とか一歩目が出るようになってきている。それは大きい」。そう話すのは宮口監督でPK戦を制した3回戦の刈谷戦、延長戦を乗り越えた準々決勝の日本福祉大付属高戦の経験によって“最後まで頑張れば何かが起きる”という意識が身に付いてきた。 準決勝の壁を乗り越え、残すは決勝のみ。「決勝は3年間で初めてなので、楽しみな気持ちが強い。まだまだこのメンバーでサッカーがやりたいし、勝たせる責任が自分にはあると思う。もう1個笑って終われるように頑張りたい」。蒲地がそう口にする通り、苦しい時期を乗り越えた仲間との時間を終わらせないためにもタイトルをつかみ取る。 (取材・文 森田将義)
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