いつも元気な、いとうあさこさんに神様がくれたふたつの力とは?【インタビュー/後編】
さらにルーティンワークとして続けているのが、ラジオ体操とラジオ英会話。 「去年のお正月特番かな、『マツコの知らない世界』に、世界中の豪華クルーズに行かれている女性が出てきて、南極クルーズを紹介していたんです。 その中で彼女が英語の船内放送を聞いて『今日は上陸できないって言ってたけど、行けるみたいよ』ってさっと立ち上がるのを見て、『うわ、カッコいい!』って。 英語をちゃんと自分で理解してすっと動ける大人になりたいと思って、ラジオ英会話を始めました。60で南極に行きたいというところからのスタートです」 ラジオ体操は、ラジオ英会話のついでにやってみた。 「やってみたら、すごく気持ちいい。体操のお兄さんがいつも元気に『行ってらっしゃい!』って言ってくれるので、楽しいんです。 真面目にやるとラジオ体操第一と第二で約10分、けっこうクタクタになりますけど、そんなのがいいんですね」 自分のエンディングのために、一升瓶を抱えた遺影を用意してある話、仲良しの大久保佳代子さんと一緒にお墓を見に行った話、子どもの頃3年間ほどフィギュアスケートを習っていたのでプロフィールにそう記載したら、ディズニー・オン・アイスからオファーがあって、わざわざスペインまで行って特訓をした話。 「でもね、リフトしてくださるふたりの外国人男性が、私を持ち上げるたびにうめいていました。重かったんでしょうね(笑)」 インタビュー中、ついでに披露してくれる話もすべてエンターテインメント。気力充実の日々の暮らしは、本当に楽しそうだ。 「私ね、ソックスとブラジャーが嫌いなんです。縛られたくないんです。 ブラトップという素晴らしい発明をユニクロさまがしてくださったおかげで、まぁ、油断させてます(笑)。足が冷たかったり、いろいろ問題はあるんですけど、自分の好きにしているのが一番快適じゃないですか。 食事に関しても、自由に、好きに食べていたら、急激に太りました。ここ10年くらい一定の体重だったので、人間って自分の体型の限界があるのかなって思っていたけど、すべてを解放してみたら、あ、ちゃんと太るんだなって(笑)」 とはいえ、私服とすっぴんでカメラの前に立ってくれたあさこさんは、お肌ぴかぴかで元気いっぱい。やりがいのある舞台を前に、十二分に魅力的だ。 自由に、自分で選んだやり方で生きて、ありのままの自分を愛せる自分なら、それがベスト! 2024年6月10日、54歳の誕生日を前に、あーちゃんは輝いている。 【話してくれたのは】 いとうあさこさん いとう・あさこ●1970年6月10日生まれ、東京都出身。1997年、お笑いコンビ「ネギねこ調査隊」を結成。2003年にコンビ解消後、ピン芸人として活動を開始。現在レギュラーで地上波番組4本、ラジオ3本に出演中。2008年から劇団「山田ジャパン」の旗揚げメンバーとして、劇団公演には必ず出演している。主演映画『鈴木さん』(’22)など俳優としても活躍中。 撮影/富田一也 取材・原文/岡本麻佑