「プラスサイズモデル」はどこへ?業界関係者が語る現状と将来
それは、まさに目覚ましい“一大変化”が起きようとしているかのようだった。インクルージョンの実現を目指し闘い続けてきた人たちの間では、かつてないほどの楽観論が広がっていた。
だが残念ながら、そうした変化は実際には訪れなかった。ファッション関連の情報を発信する「ザ・ファッション・スポット(The Fashion Spot)」の調査によれば、アメリカでは女性の67%以上が“プラスサイズ”だという。それにもかかわらず、2022年のニューヨーク・ファッションウィークのショーに出演したモデルのうち、プラスサイズの割合はわずか5%にとどまっていた。
今後の展望は?
ただしそうした状況においても、「サイズインクルーシブ」という考え方はますます一般的なものになりつつある。多様なサイズ展開は“必要なもの”であると捉えている若手デザイナーは多い。 「キム シュイ(Kim Shui)」は2023年秋冬コレクションのショーで、さまざまなサイズを取り入れており、その理由についてデザイナーのシュイは次のように語っている。 「ランウェイには、多様なモデルたちを登場させることが重要だと思います。……顧客のみなさんには、このブランドのショーのなかに自分自身を見たような気持ちになってもらいたいのです」
また、双子のデザイナー、ブルース・プロクターとグレン・プロクターが手掛ける「ブルースグレン(BruceGlen)」も、初めて参加したニューヨーク・ファッションウィークで異なるサイズのモデルたちをランウェイに送り出した。 当然ながら、やるべきことはまだ数多く残されている。ニューヨーク・ファッションウィークを長年舞台裏で支えてきたプラスサイズのコミュニティはいまだに、「“大きな体”はそこに属さない」という誤った考えに基づく差別に直面している。
プラスサイズのショーがNYで初めて開催されてから、ちょうど10年が経過した。US版『ELLE』はこれを機に、ファッション業界の将来のためにいま必要な変化について、業界のリーダー5人に話を聞いた。