期待の若手建築家・大西麻貴+百田有希を知っていますか?なぜか多くの人から愛される理由「建物だって生き物。生命が宿っているような建築を」
大西さん、百田さんが設計で大切にしていることとは?
2人が住宅設計において大切にしていることは何でしょうか? 「記憶に残る空間はとても大切だと思っています。例えば家の思い出を話すとき、具体的な部屋や機能について説明するより、何か印象的なストーリーを語る人が多いはず。きっとそこに、その人にとって大切な何かが隠されていると思うんです。つくる側として記憶に残る場所って何だろうと考えると、それは薄暗いけど落ち着くところがあったり、遠くて把握しきれない空間があったり…。単調ではなくて、できるだけ多様で複雑な体験を生むものにしたいと思っています。記憶に残るシーンがたくさんある家ともいえるかもしれませんね」 続けてこう語ります。「住宅に限らず、場をつくるということは、新しい共同体を生み出すことだと考えています。地域や人、時間など一連のつながりのなかで物事を捉えると、建物だって“生き物”として捉えることができます。生き物であるならば、建築も人間と同じように個性をもつのは当然のこと。生命が宿っているかのような、“ある”というよりも“いる”と感じさせるような、そんな愛される建築を目指しています」 「記憶に残る」「“ある”のではなく“いる”」「愛される」――。今を駆ける若手建築家が口にしたのは、難しい建築論ではなく、驚くほど優しい言葉でした。だからこそ2人は、建築に詳しくない人たちにも、まるで建物側から語りかけてくるような、今までにはない空間が生み出していけるのでしょう。