発がん性の恐れある化学物質「PFAS」、水質基準の対象に…水道水の検査・改善が義務に
環境省は24日、発がん性が指摘される化学物質「PFAS(ピーファス)」の一部について、水道事業者に水道水の検査・改善を義務付ける水道法上の「水質基準」の対象とする方針を固めた。PFASは全国各地で検出が相次ぎ、同日に開催された専門家会議から「安全管理を強化する必要がある」との意見を受け、判断した。 【写真】高濃度のPFASが検出された浄水場
PFASは水や油をはじく加工や、泡消火剤の材料などに使われてきた。国内での製造・輸入はすでに禁じられたが、分解されにくい性質から、土壌中などに残留しているとみられる。
国は2020年、体重50キロ・グラムの人が、毎日2リットルの水を飲んでも健康に影響がない濃度として、PFASの一種「PFOA(ピーフォア)」と「PFOS(ピーフォス)」の合計で1リットルあたり50ナノ・グラムとする「暫定目標値」を定めた。水質管理について留意する必要はあるものの、検査などは義務づけられていなかった。
しかし、各地の水道水や河川、井戸水から検出が相次ぎ、国は今年、水質基準への引き上げの議論を開始。水道水からの検出状況について初の全国調査を実施し、20~23年度に14事業者で暫定目標値を超える濃度が検出されていたことが明らかになった。今年度は9月末時点でゼロだったが、残留するPFASが水源を汚染するリスクはあるため、国は水質基準に引き上げ、管理を強化する必要があると判断した。
水質基準の対象となると、自治体など水道事業者は、水道水中の濃度を調査し、基準を超過した場合は給水を止めたり、水質を改善したりする義務が生じる。環境省は来春をめどに、具体的な計画をとりまとめる。