残忍、非情、強烈な存在感…子ども心にリアルに怖かった『ドラゴンボール』初期の悪役たち
鳥山明さんによる『ドラゴンボール』(集英社)には、数多くの悪役が存在し、それぞれがかなり印象に残っている。ギャグっぽかったり、見た目が特殊だったりなど実にさまざまなパターンのキャラがいるからだろう。 ■【画像】子ども時代のトラウマ… 『ドラゴンボール』桃白白による「舌突き」■ そして、子どもの頃に見た悪役ほどよく覚えているものである。これまで見たことのない悪を純粋に怖いと思う気持ちが強かったからだ。そんな恐怖心を与えられた悪役だからこそ、倒した時には「やった!」と思わず心の中で叫んでしまった。 冒険活劇としてスタートし、序盤はギャグの要素も強かった本作でも、悪役の存在感はひときわ大きいものだった。そこで今回は、子どもの頃に恐怖心を与えられた『ドラゴンボール』の悪役を振り返っていきたい。
■世界一の殺し屋・桃白白
まずはレッドリボン軍が雇った世界一の殺し屋である桃白白からだ。このキャラは今思い返してみても、何から何まで斬新すぎる。その理由は、規格外の強さを分かりやすく表現してくれたからだ。 桃白白が登場するまでに悟空が戦ってきた悪役は、あくまでも常識的な範囲内での強さを持つキャラばかり。しかし桃白白は違う。舌の先でブルー将軍のこめかみを突いて殺し、聖地カリンを目指す際には柱を投げてそれに飛び乗って移動するなど、規格外の描写だらけだ。 そんな強さに加えて、初めて登場した非情キャラということで子ども心にも怖い印象が残る。悟空との勝負で服が破れてしまい、服屋で服を仕立ててもらった時には、「カネのかわりにどいつかを殺してやろう」と代金を殺しで支払おうとしていた。さらに店主がそれを断ると、「ならおまえが死ぬか?」と殺してしまう非道ぶりだ。これには、『ドラゴンボール』にも理不尽に人を殺すキャラもいるんだ……と子ども心に思ったものだ。 それ以前は本作に直接人が殺される描写はなかったので、桃白白の殺しは特に生々しく感じる。おまけに悟空が手も足も出なかった時は絶望しかなかった……。 しかしその後、修行して強くなった悟空に倒されてしまったので、やはり悪は滅びるというわけだ。本作でこれほど憎いと思ったキャラは彼が初めてだったのもあり、名前とともにいつまでも記憶に残っている。