自衛官の手当拡充33項目、若手隊員に6年で最大120万円支給も…定年引き上げも検討
政府は20日、自衛官の処遇改善に向けた関係閣僚会議を首相官邸で開き、33項目の手当などの新設・拡充や一般隊員の定年引き上げなどを柱とする基本方針を決定した。定員割れが続く自衛官の充足率を向上させ、防衛力の抜本的強化につなげる狙いがある。 【表】一目でわかる…自衛官の処遇改善基本方針のポイント
石破首相は会議で、「基本方針を2025年度予算案に反映させ、法律や制度の改正が必要なものについて、可能なものは次期通常国会に提出するようお願いする」と指示した。
基本方針は、25年度に航空管制官や航空機整備員、野外演習などの手当を新設する方針を明記。隊舎で生活する若手隊員に6年間で最大120万円を支給する給付金を創設する。航空手当や災害派遣手当、予備自衛官の手当など既存の手当の引き上げも行う。
1950年の警察予備隊(自衛隊の前身)発足時から大きく変わっていない俸給表についても、海外の事例や専門家の検討を踏まえた上で、28年度に改定する方針を示した。
自衛官の多くが56歳で定年を迎え、老後の収入への不安を抱えていることから、28年度以降、一般隊員の定年を2歳程度引き上げることを検討。再就職支援の取り組み強化や、防衛省内に処遇改善の担当室を設置することも盛り込んだ。
自衛官は今年3月現在、定員約24万7000人に対する充足率は90・4%で、定員割れが常態化している。特に最前線で活動する階級の隊員の充足率は67・8%と深刻な状況となっている。