北海道発のガチャ専門店「何ヶ月も通ってやっと5台」の時代から…年間売上115億に 2代目は元銀行員
2018年末から「専門店」のノウハウ蓄積
冴えないガチャガチャ業界でしたが、2010年代後半ころ、各ベンダーが専門店を始めていきました。もともとベンダーは地区ごとに、暗黙の了解として住み分けがありましたが、ベンダーが専門店を出店しはじめたころから、従来の住み分けが崩れ、宮本さんは危機感を抱きました。 なぜならトーシンは北海道中心にロケーション型で展開していたため、ビジネス領域を侵されると思っていたからです。そこで、2018年12月に札幌市のファッションビル、4丁目プラザに「シープラ 4丁目プラザ店」の出店を決めます。その翌月2019年1月には旭川に期間限定有人型カプセルトイ専門店実験店舗を展開し、マーケティングや店舗ノウハウを蓄積していきます。そして、2019年3月に初の有人型専門店「#Cーplaイオンモール札幌発寒店」が誕生しました。これが2つ目のターニングポイントになります。 当時は社内でも過去に例のない巨額投資に対して役員からも反対があり、「ガチャガチャは置くだけで売り上げが上がるのに、『わざわざ内装工事に何百万円もかけてビジネスとして上手くいくはずがない』と言われましたね」(宮本さん)。しかし、宮本さんは他ベンダーの専門店の成功事例や集客力の強さを目の当たりにしており、勝負に出ました。その結果、最初の半月で目標の倍の500万円の売上を上げ、2か月目では700万円を売上げるようになりました。
緊急時代宣言明けに想定外…売り上げ過去最高に
初店舗出店を機に、イオンモールなどに認められ、専門店の本州進出に取り組み、都内でも専門店の出店が決まっていくなか、コロナ禍に入りました。政府の緊急事態宣言により、宮本さんは休業要請に従い直営店舗全店の営業を停止する判断を下します。宮本さんは「続々と店舗の出店が決まっていく中での緊急事態宣言です。店が開けられない以上、直営店舗は本当に売り上げゼロです。家賃は、売れても売れなくても負担しなきゃいけない。契約が多かった中で、ほんと、コロナになって終わったなと思いました」と話します。 ただし、直営店舗の売上が無くても、北海道でスーパーマーケットやドラッグストアなどの軒先を借りたロケーション型ガチャガチャコーナーも多数展開していたため、なんとか会社を経営していくことができました。 当時、活必需品を扱う、食品スーパー、ドラッグストアなどは休業要請の対象外でした。 そうしてなんとか最初の緊急事態宣言の時期を乗り越えます。 その後緊急事態宣言が明けた後は予想もしないことが起こります。 ガチャガチャ業界では6月は閑散期であるにも関わらず、ほぼ、どの店も同月の過去最高売上を記録したのです。 この時、宮本さんは社会に娯楽の要素は必要不可欠であり、我慢を強いられた分のリベンジ消費が必ず来ることを確信します。