indigo la End「トウヤノマジック vol.1」総括 結成15周年に向けて新たなモードへ
12月1日、indigo la End(以下、インディゴ)が横浜アリーナでのワンマンライブ「トウヤノマジック vol.1」を開催した。インディゴが横浜アリーナでワンマンライブを行うのはこれが初めてで、彼らにとっては過去最大キャパ。2022年11月の日本武道館公演、2023年から2024年にかけて行われたロングツアー「藍衆」、数々のフェスやイベント出演を経て、ライブバンドとしてたくましさを増した4人の現在地が感じられる一夜となった。 【写真ギャラリー】「トウヤノマジック vol.1」ライブ写真(全20点) 開演時間を過ぎて照明が暗くなると、オーディエンスがつけているアクリルライトブレスレットの青い光が場内にゆらめく中、スクリーンにはフランス映画のような女性の映像が流れ始める。インディゴの映像というとアートワークとも連動する日本人女性のイメージが強いこともあり、このオープニングからしてインディゴがまた新たなタームに入ったことを感じさせる。10カウントを経て、ステージに向かうメンバーの姿がリアルタイムで映し出されると、ライブは「瞳のアドリブ」からスタート。スクリーンにはメンバー一人ひとりの姿が映し出され、「この4人がindigo la Endである」という、バンドとしてのアイデンティティを感じさせた。 この日は初のアリーナワンマンということもあって、過去のライブに比べて演出は視覚的に魅せる要素が強まっていて、「想いきり」や「砂に紛れて」では曲とシンクロしたイメージビジュアルが映し出されたのもインディゴのライブとしては新鮮。一方、後鳥亮介がリードして場内がクラップに包まれた「名前は片想い」ではバンドとオーディエンスのコミュニケーションが一体感を作り出していき、この曲がすっかりアンセム化したことも改めて伝わってくる。さらに、佐藤栄太郎のドラムソロから始まったロックナンバー「悲しくなる前に」ではアウトロで印象的なリフを何度も転調させるライブアレンジを聴かせ、そこからデザインされたライティングによる「不思議なまんま」へと繋げていく。音源では聴くことのできない曲間のアレンジは、やはりライブバンドとしてのインディゴの真骨頂だ。 この日のライブは前半から中盤にかけてほぼノーMCで曲を演奏していったが、ノスタルジックな粗い画質の映像とともに演奏された「見せかけのラブソング」、歌詞とリンクする赤と白の対比を新たな映像で表現した「チューリップ」、サビでの青い照明が文字通り糸のようにステージとフロアを結んだ「蒼糸」、雨の降る窓に歌詞を映し出した「ラムネ」と、楽曲や演奏の素晴らしさはもちろん、視覚的にも記憶に残る場面が続き、没入感の強いステージを作り出す。「ひさしぶりの曲をやります」と言って披露された『藍色ミュージック』収録の「忘れて花束」から、「夜の恋は」でブロックを締めくくるまで14曲が一気に披露されたのは、バンドのライブに対する自信の裏返しだと言ってもいいかもしれない。 川谷絵音はMCで「個人的には、横浜アリーナでワンマンライブをやるのが9年ぶり」と語ったが、これは2015年10月に開催されたゲスの極み乙女。(当時)のワンマン「ゲスチック乙女~アリーナ編~」のこと。この年は4月にゲスの極み乙女。が「私以外私じゃないの」をリリースして、社会現象化していく真っ只中だったのに対して、インディゴは3月に佐藤栄太郎の正式加入が発表され、6月に「悲しくなる前に」で現体制での再スタートを切ったタイミング。それまで出入りの多かったインディゴの正式メンバーがついに固まったときであり、当時のゲスの極み乙女。ほどの派手さはないものの、着実な歩みで横浜アリーナまでたどり着いたその歴史は改めて感慨深いものがある。