小学生で「金メダルの技」習得、スケボー14歳吉沢恋が「パリ」名乗り…20日から運命の最終戦
パリ五輪に向けたスケートボード女子ストリートの日本代表争いで、14歳の吉沢恋(ここ)が一躍、有力候補となっている。東京五輪女王の西矢椛(もみじ)(サンリオ)らを抑え、パリ五輪予選の世界ランキングは3位で日本勢2番手に浮上。「気を引き締めてやれば五輪に近づける」と自らを鼓舞する。
5月17~19日の五輪予選シリーズ(OQS)第1戦(中国・上海)では実力者が次々と姿を消す中、決勝進出。45秒間のランで4位につけると、一発の技を競うベストトリックでは、空中で板を縦に1回転させてレールを滑る「フリップボード」などで得点を加算した。3位に入り、「結果を出せたことは自信になる」とうなずいた。
小学生時代に教室に通い、最近再開したトランポリンで磨いた空中感覚と体幹を生かした安定感が強みだ。トランポリンをすることで、「スケートボードでジャンプした時に動ける範囲が格段に違う」と言う。
相模原市出身。兄の影響で7歳からスケボーを始めた。当初は長く続けるつもりはなかったが、小学6年の時に行われた東京五輪で、自分にもできる技を西矢が決めて金メダルに輝いた姿を見て、世界を意識し始めた。
2022年にパリ五輪予選に参戦し始めた頃は得意技に頼りがちだったものの、ランのスピードとトリックの成功率を向上させたことで演技全体の完成度が高まった。今年3月の予選大会で3位になるなど、快進撃を続けている。
5月のOQSは上位勢が点数を伸ばせず「運もあった」と吉沢。今月20日からブダペストで行われ、五輪予選の最終戦となるOQS第2戦では「実力で表彰台、1位になりたい」ときっぱり。はっきりとパリの舞台を視界に捉えている。(井上敬雄)