『エミー賞』18冠の真田広之に「もう日本に戻ってこい」親友俳優が明かした“アメリカ断念”の真実
「戻ってきて、こっちでやった方がいいよ」
2019年9月放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)でも、三谷幸喜と中井とのトークで思いをぶつけている。この頃の真田といえば人気映画『アベンジャーズ』に出演するも、ヒーローの1人に切られて命を落とす“日本のヤクザ”が役どころだった。 そんな彼に対して佐藤はーー、 「ストイックって言っちゃえば簡単なんだけどさ。それでは言い表せないよね。“もう、(アメリカは)いいじゃないか。ここらで(日本に)戻ってきて、こっちでやった方がいいよ”って言っても、(真田は)“いや、俺やっぱ楽しいんだよね”って言ってくるわけですよ」 佐藤によると、真田が苦労しているのが英語によるセリフ。最近でも小栗旬をはじめ、海外進出を図ろうとする日本人俳優の多くが苦心する部分でもある。セリフでNGを出す真田だが、
「で、監督がOKを出して。すると録音部のマイクをつけにくるお姉ちゃんから、”今の広之、よかったよ”って言われる。(真田は)それが嬉しいって言うんだよね。 自分たちが(俳優を)始めたころに、同じように若いスタッフから“今のよかったよ、浩市。よかったよ、貴一”って言われると、なんかどこかで安心する。嬉しさって言うのがあって、それに支えられて次の日も頑張れるみたいなさ。 (真田と)どこまで同じ話とは言えないんだけど、そこでまたコイツは新しいことで(チャレンジしながら)、実は“自分の立脚点のところに、今もまだいるんだな。またいるんだな”って。それが偉いな。僕にはそんな研鑽は積めないな。そんな凄さがアイツにはあるんだと思います」
全編の7割が日本語で演じられる
63歳になっても、俳優を志した頃と同じ気持ちでチャレンジをする、それを楽しむことができる。真田がアメリカで俳優を続けていられる理由とするのだった。 非英語作品として初の『エミー賞』受賞作だけに、全編の7割が日本語によって物語が進められる『SHOGUN 将軍』。日本人が不得意とする部分を逆手にとった、あえての日本語によるチャレンジが功を奏した格好だ。 「本作は東洋と西洋が出会う夢のような、そしてとても難しいプロジェクトでしたが、私たちは一致団結してミラクルを起こすことができました。私たちはより良い未来を作ることができます。私を信じてくれて本当にありがとう」 授賞式では、英語スピーチで「ミラクル」と語った真田だが、あきらめずに無骨にチャレンジし続けた、サムライ精神が「国境を越えた」作品を作り上げたのだろう。