メジャースカウト待望の阪神・藤浪が4連続奪三振の快投!
消化試合となった中国戦では、ここまで登板機会のなかった4投手がマウンドに上がった。先発の武田(ソフトバンク)、第二先発の藤浪(阪神)、ブルペン陣では、増井(日ハム)、松井裕(楽天)の2人。MLB公式サイトであるMLB.comは藤浪をピックアップし、日本の3連勝を伝える記事の中で、「東京ドームに来ているメジャーリーグのスカウトは22才の藤浪晋太郎を待っていた。彼は、キューバ、豪州戦に登板しなかったからだ」と、強化試合の段階から集結しているメジャーのスカウトが藤浪に熱視線を送っていたことを伝えた。 第二先発として4回からマウントに上がった藤浪の第1球は152キロを示した。 沖縄の宜野座キャンプの初日から取り組んでいたグラブの位置を高くしたセットポジションから。中国の5番、ヤン・シュンイは、その球威に押し負けてポーンとセカンドへフライをあげた。 1球でワンアウト。2球目もストレート。155キロが掲示されたが、続く打者はセーフティバントで転がしてきた。長身でバント処理が得意とは言えない藤浪にとってはウイークポイントである。だが、一塁側に駆け下りてきた藤浪がサイドから一塁へクイックスロー。冷静に2球で2つのアウトを取った。 だが、3人目のワンウエイを0-2と追い込んでから「力んだ。抑えてやろうと欲が出た」という。 ストレートが2球続けて抜けてボールが肋骨のあたりを直撃した。 “良い藤浪”と“悪い藤浪”。 マウンド上で、2重人格を持つ藤浪に、突如として悪い部分が顔をもたげた。ボールが荒れ、シュ・ウイグエンに対してストライクが入らなくなる。 ボール3となったとき、4万人を超える東京ドームが「がんばれ!」と励ましの声で包まれる。 結局、ストレートの四球で歩かせると、田中がマウンドへ。お尻をポーンとたたかれた。 「ボールは悪くなかった。変化球に組み立てを変えてうまく配球ができました」 ここから“良い藤浪”にスイッチである。 そのボタンになったのはカットボールだった。 1球、2球と、WBC球用に取り組んだカットを続けて、ストライクを取る。ウイニングショットもカット。「よく曲がるので組み立ての中心のボールになる」と、藤浪が頼りにするボールだ。 中国人のバットが、くるっと空を切った。 WBCではベンチ前キャッチボールが禁止されているため、藤浪はすぐさまベンチ裏にあるブルペンに戻って肩を暖めた。圧巻の三振ショーの始まりである。