英中銀幹部、税負担増が利下げ阻害の見方 総裁「慎重姿勢必要」
[ロンドン 19日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)の複数の当局者は19日、新政権の初予算案で示された税負担の増加がインフレに影響を及ぼし、段階的な利下げに疑問を投げかけると指摘した。 ベイリー総裁は19日公表された議会への報告書で、政府の予算案に盛り込まれた税制変更の影響を見極めるため、追加利下げを行う場合は慎重に進める必要があるとの見解を示した。 総裁は、国民保険料の雇用主負担の引き上げについて「雇用コストの上昇を意味する」とし、物価の上昇や雇用の減少などにつながる可能性があると述べた。 「景気抑制的な金融政策の解除に慎重なアプローチで臨めば、この措置がどのように展開するかを、インフレ見通しに対する他のリスク要因とともに見極める助けになる」と述べた。 金融政策担当の副総裁で、委員会では中道派とみられているクレア・ロンバルデリ氏も、インフレが定着した場合のコストを考えると、物価上昇圧力の下振れリスクよりも上振れリスクのほうが懸念されると語った。 中銀は今月、政策金利を5%から4.75%に引き下げ、今後の利下げは緩やかなものになるとの見方を示した。 唯一、利下げに反対した金融政策委員会メンバーであるマン氏は、雇用主負担の引き上げは企業による値上げにつながる可能性があり、それは将来的に英中銀のインフレ率2%目標回帰に対する阻害要因になるだろうと述べた。 一方、金融政策委員会の新メンバーであるアラン・テイラー氏は、段階的な利下げは2025年末までに0.25%ポイントの利下げを4回程度実施するという最近の市場見通しと一致していると指摘。「しかし、状況が悪化すれば必ずしもその通りにはならない。個人的見解では、(バランスが)約1年前の上振れリスクに対し現在は下振れリスクに偏っている。その場合、われわれはより速く進む可能性がある」と述べた。