【独自】京畿教育庁の「有害図書排除」通達でハン・ガン作品が閲覧制限
『菜食主義者』廃棄理由に「過度な淫乱描写」
ノーベル文学賞を受賞したハン・ガン氏(53)の代表作『菜食主義者』が、京畿道教育庁の独自指針に則り、道内のある高校で青少年有害図書とされて廃棄されていたことが明らかになったのに続き、2つの中学校で閲覧が制限されていたことが確認された。 21日に国会教育委員会に所属する共に民主党のチョン・ウルホ議員室が京畿道教育庁から提出を受けた「2024学年度学校図書館運営委員会の運営状況」と題する資料によると、今年、京畿道龍仁(ヨンイン)のある公立中学校と驪州(ヨジュ)のある女子中学校が『菜食主義者』の閲覧を制限していた。また、城南(ソンナム)のある女子高校が『菜食主義者』の廃棄理由として「淫乱な様子を過度に描写したこと、性行為・性関係を助長すること」などをあげていたことが確認された。 最も多くの学校で廃棄または閲覧制限措置を受けた本は、性教育本『生理のはじまったあなたへ』(153校)。同書は2020年のオーストラリア出版賞(ABIA)で今年の青少年の本に選ばれている。続いて『性教育常識辞典』(132校)、『すごく心が引かれるなら』(106校)、『子どものフェミニズム学校』(98校)、『スパイダーマンのカバンを背負った子』(87校)の順だった。また、アウソンセンターのク・ソンエ所長が執筆した図書が186校で廃棄または閲覧制限処分を受けていた。ほとんどは性教育やフェミニズムの図書だったが、チェ・ジニョンの『クの証明』(3校)、チョン・ユジョンの『種の起源』(1校)、ジュゼ・サラマーゴの『白の闇』(1校)などの有名文学作品もあった。こうして京畿道の小中高で廃棄された図書は2517冊、閲覧が制限された図書は3340冊に達した。 京畿道教育庁は昨年、「青少年有害図書の分離・排除」を保守系の保護者団体に求められ、同年9月から11月にかけて教育支援庁に「不適切な物議を醸す内容の含まれる図書について協議し、措置を取るように」とする通達を2度にわたって送っている。通達には青少年有害媒体の審議基準、保守系の保護者団体の主張を扱った報道が同封されていた。これについて京畿道教育庁は、図書の廃棄などは各学校が運営委員会を開いて自主的に判断したと釈明している。「ひと味違う性教育研究所」のコ・サンギュン所長は、「有害図書だとしてクレームを入れる人々に、それらの図書に対する理解があるかを確認し、説得する過程もなしにこのような通達を送ったというのは、官公庁の責任放棄」だとし、「単に性関係の場面があるからといって扇情的だと判断するのは、青少年の自己決定権を侵害する行為」だと述べた。 野党議員は22日に開かれる京畿道教育庁に対する国政監査で、この問題を集中的に追及する予定だ。民主党のチョン・ウルホ議員は、「京畿道のイム・テヒ教育監の時代錯誤的な図書検閲で、ノーベル文学賞作家の図書が廃棄や閲覧制限の処分を受けている」とし、「一部の保守勢力のせいで偏向した教育現場を正さなければならない」と述べた。 イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )