いまや早慶は追い越された...全国3位に躍り出た「立命館大学」の実力
立命館の実力は全国3位
▪国家公務員総合職試験 量的な拡大は、質的向上を伴って初めて長期的な成長のベースになる。レベルを測るのに、何の指標を見るかはやっかいだ。学生の成績は教員のつける基準が異なるので、まったく適さないし、入手もできない。入学時から成長した卒業時のレベルで比べたいので、大学入学共通テストなど入学時のデータも使えない。外部のデータで、合格率がとても高い資格試験などは差が出にくい。 大学生の後半年次に受けられ、難易度が高く、地域の偏りが少なく全国的で、信頼できる試験というと、民間でなく国が実施するものが最も信用が高く、適していると判断できる。そのなかの最難関である「国家公務員総合職試験」が浮かんでくる(いわゆるキャリア官僚の試験で、この後、官庁訪問という名の面接を経て各官庁の採用が決まる)。 一番新しいのは、2024年度国家公務員総合職試験(春試験)である。人事院が5月末に発表したもので、その出身大学別合格者を見ると、東大、京大に次ぐ3位が立命館だ。ベスト10には名門国立が7、早慶と立命館が入っている。この結果から、学生上位層の実力レベルは3位と言うことができる。量的・質的両面で立命館の3位が検証されたことになる。
▪公認会計士試験 難関試験としては、ほかに民間での活躍が期待される公認会計士試験がある。公認会計士試験合格者は表1-6の通り、2023年は9位で、一橋大学、法政大学と同位である(余談だが、この種の順位に各大学の学生数は考慮されていない。たとえば、一橋大学は1学年1000人に対して、法政大学は7000人を越えており、合格率で見るとまったく違った結果になる)。2022年は立命館大学は5位で、例年10位以内をキープしている。
▪官民の合算 ここで、公認会計士2023年と国家公務員2024年(春)両方で5位以内に入っている大学を列挙すると、表1-7となり、この5大学が官民を合わせたときトップ5になる(順不同)。 ここから言えることは、立命館大学はベスト5に入るレベルで、地方(首都圏以外)の私立では唯一ということだ。つまり、立命館の学生の上位層は東大、京大、早慶と遜色ない実力を持っており、首都圏にないため知名度が低いが、我が国の人的資本、人材獲得の面で貴重な人的リソースであることがわかる。 新卒の市場で、東京の有力企業が内定者の獲得に苦戦している声をよく聞く。首都圏の学生にはほぼ広報が浸透している一方で、関西の学生の獲得にもっと力を入れるべき根拠になるデータである。
西山昭彦(立命館大学客員教授)