「老後の貯蓄は3000万円に届きそうなので安泰ですか?」実は個別の事情で異なる理由
日本財団が2023年11月1日に発表した「18歳意識調査」によると、全体の63.4%が老後の経済状況に不安を感じると回答しました。 【貯蓄の円グラフ】60歳代で実際に「貯蓄3000万円」を達成する世帯は多い?少ない? 老後の生活に困らないように、積極的に資産を増やそうとする人が今後も増えると考えられます。 では、実際に老後の生活はいくらあれば安心できるのでしょうか。 今回は、世帯要件ごとに貯蓄がいくらあれば安心できるのか解説します。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
老後2000万円問題はもはや過去の話?
老後といえば「老後2000万円問題」をイメージする人も多いでしょう。 2019年6月3日、金融庁の金融審議会が発表した「高齢社会における資産形成・管理」 において、老後資産として30年で2000万円不足すると試算されました。 とはいえ、老後2000万円の試算は老後の収入と支出の差額をもとに計算していますが、家の修繕費用や車の買い替え費用など特別にかかる支出を考慮すると2000万円以上になるでしょう。 また、2019年と比べて以下の項目も厳しい状況になっているため、生活に必要な毎月の不足額も増える可能性があります。 1.国民負担率 2.物価のインフレ 3.年金受給額 ●国民負担率 国民負担率とは、所得に対して税や社会保険料の負担割合を示しています。 2019年時点で44.3%でしたが、2022年は実績見込みで47.5%となっています。 老後生活に入っても、税金や社会保険料の負担が重くなれば、生活における不足額は増える可能性もあるでしょう。 ●物価のインフレ また、2023年12月22日に総務省が発表した「消費者物価指数」によると、2020年と比較して生鮮食品を除く総合指数は106.9でした。 物価高やインフレが続いている状況なので、老後の生活でも家計の圧迫につながる可能性があります。 ●年金受給額 最後に、将来的に受け取る年金受給額も不透明です。 2023年度に受給する、国民年金を含む厚生年金の標準的な年金額は夫婦2人で22万4482円でした。 一般的に、年金額は賃金や物価の上昇に応じて増えますが、将来の現役世代の負担が重くならないように、マクロ経済スライドによって年金額の伸びを調整しています。 以上の観点から、老後の生活費、公的年金の不足額は今より増える可能性も高いので、老後までに準備すべき資産は、2000万円より多くなるでしょう。