「エラくなるとエラい目に遭う」昇進しても給料しょぼい…管理職のなり手が不足して登場した"上司代行"の正体
■「就任半年間は黒い便が出た」「エラくなるとエラい目に遭う」 管理職といえば昔は経営幹部の登竜門として誰もがいち早くなりたいポストだった。しかし、今や年功序列が崩壊し、年上の部下を含む部下のマネジメントに加え、経営から事業環境の変化に応じた判断と成果が求められ、仕事そのものが複雑化・高度化している。 ところが、それに見合った対価は少なく、中国や韓国企業の管理職より報酬は低いといわれている。業務量の多い割にインセンティブが低い処遇に、近年では管理職を目指すより、専門職を志向する若手・中堅世代も増えている。 SNS上には、 「肩書が上がっても残業手当はつかなくなり、プラスされる報酬も微々たるもの」 「責任が重大で就任半年間は黒い便が出た」 「エラくなるとエラい目に遭う確率が高まる」 「さっさと定時で帰って副業したほうがよほど稼げる」 「社内政治に引きずり込まれたらたまらない」 など、管理職はむしろつらいだけだと考える層の愚痴コメントがあふれている。 管理職の位置づけも、日本のメンバーシップ型の“何でも屋”のプレイングマネージャーから外資系流の戦略の立案と組織マネジメントに徹したプロマネージャーへの転換を図る企業も出てきている。 今のままでは企業の中核となるべき管理職が疲弊し、企業の成長を危うくする事態になりかねない。 ---------- 溝上 憲文(みぞうえ・のりふみ) 人事ジャーナリスト 1958年、鹿児島県生まれ。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。著書に『人事部はここを見ている!』など。 ----------
人事ジャーナリスト 溝上 憲文