“子どもの本音”を高校生が調べた 「大人に言いたいこと」…大人側の気持ちも聞いて考えたこととは
■大人の声も調査
――子どもに、つい言ってしまう言葉はありますか? 「『早くしなさい』は本当に毎日、言ってしまっているなと思います。子どもが3人いるので、朝、出かけるときも本当にバタバタで。一人一人ゆっくり見られないので、つい言ってしまいます。でもなるべく言いたくなくて、『今日もたくさん言っちゃった…』と反省しながら寝ています」
――大人に言われて嫌な言葉ある? 息子「ぼくは、基本的に嫌な言葉を言われない」 ――え!? 「早く〇〇しなさい」とか言われないの? 息子「時間決めて、そのときにやる…みたいなやり方だから」 ――お母さん、「勉強しなさい」って言わないですか? 母親「言わないですね。言わないようにして待ちますね」 ――言わないように決めていることはありますか? 母親「絶対に人と比べないことにしています」 ――それはなぜですか? 母親「自分の母親がそういうタイプで、ものすごく言われて嫌だったので、言わないようにしています」 ――親子のコミュニケーションで心がけていることは? 母親「基本、『1話したら、10子どもの話を聞く』ようにしておくと、自然と自分から話してくれます。とにかく話を聞くこと、それに対してディスカッションしていますね」 ――お母さんが家で話を聞いてくれること、どう感じている? 息子「学校でいっぱい嫌なこととか、大変なこととかあるけど、お母さんに話しているから家でストレス発散できる」 ――すてきな親子関係ですね。ありがとうございました。
■インタビューに挑戦 高校生たちの“気づき”
取材を担当した高校生に、鈴江アナが聞きました。初めての街頭インタビュー取材で感じたこととは―― ◆高校3年 大舘愛心さん(17歳) 同年代へのインタビューでしたけど、私たちが大人になって、子どもが嫌な気持ちにならない言葉を言うためにはどうしたらいいんだろう…っていう気持ちで参加できて、いい機会になった。 ――印象に残ったことは? 大人と子どもでルールを話し合って決めている親子が、すてきだなと思った。大人が一方的にルールを決めるのではなくて、大人と子どもで話し合ってルールを決めるのが一番いい策だと思った。私の家でも、これを機会に親としっかり話してルールを決めていきたいと思った。自分の将来のためにも、例えば「スマホを何するために使うのか」を話し合いたい。 ――取材を通して学んだことは? 一人一人がちゃんと気持ちを持っているので、一方的にその気持ちを押しつけないで、一人一人が自己主張をする場を作るのが大事だなと。一方的に大人に言われて制限されるのではなくて、ルールがあることで縛られてしまうこともあるので、子どもたちがのびのびと意見を言いやすい環境を作れたらいいなと思った。 ◆高校3年 加藤睦登さん(17歳) 僕自身、周りと比べられたことはなかったけれど、いろいろな人とディスカッションして、身近なところにそういう人がいるっていうことを、身をもって体験した。街でいろいろな方に聞いて、みんな不満があるんだな…って思った。 ――どんな言葉が印象的だった? 「親がわかってくれない」という不満が多かった。 ――大人と子どもの関係性をよくするためには、どうしたらいいと感じた? 子どもに対して「子ども」って接するのでなく――子どもはできないことも多いし、知らないことも多いと思うけど、そこは子どもだから聞かないのでなく、大人のように意見を求めて、発言が子どもだからって軽くされるのではなくて、子どもが思っていることを高校生とかも受け入れることが大切だと思った。 ◆高校3年 杉山美唯さん(17歳) 大人は『勉強しろ』とか腹立つことも多いけど、実際インタビューしてみて、大人も大人で思うことがあって、私たちのためにきっといろんなことも言ってくれているから、お互いもっと歩みよるような姿勢を作らないといけないと思った。家族間でのコミュニケーションをもっと増やしたい。 ――どんなことを家族で話したいと思った? ルール作りをしてみようと思った。「スマホ使いすぎじゃない?」とガミガミ言われると嫌な気持ちになるので、使う時間などを家族会議でお互い話してルール作りをしたら、自分もけじめをつけて使えるようになると思うので、やってみたい。 ◆高校3年 當銘真歩さん(17歳) 高校生でできること、学校でできることって限られているけど、実際にアナウンサーの方と取材できたことは自分の中で貴重な時間でした。 ――同世代の声を取材して、印象に残ったことは? 大人が自分(子ども)たちを制限しちゃっている、という話に自分も共感できた。大人は自分(子ども)たちのことを思ってルールや決まりことを作ってくれていると思う。けれど、実際、それで縛られてしまっている子どももいるので、子どもと大人の対話がもっと大事だと感じました。 ――自分もやってみようと思ったことは? 今は大人が決めたルールに疑問を持つことがあまりなくて、大人が「こうだ」と言ったら、それに従って行動してしまっている自分がいるので、これからはそれに対して、自分も対話をするというか、自分から「なんで、そうしないといけないの?」「もっとこうしてほしい!」とか、大人の方に対応を任せるのではなく、自分からももっと行動できるようにしていきたいです。 ◆高校3年 増田美菜さん(17歳) 私はもともと「大人がもっと子どもの意見をもっと聞いてくれたらいいのに…」と考えることが多かったんですが、今回、調査してみて、そう考えている10代が多かったので、番組を通じて見てくれている大人に、「子どもはもっと自分の主張を聞いてほしいんだよ」ってことを伝えたいと思った。 ――インタビューしてみて、どんなことが心に残った? 親子に話を聞いたときに、お母さんが子育て大変そうだと思ったので、大人が子どもを育てる環境が必要なのではと思った。 ――大人も子どもも生きやすい社会にするために、そんなことが必要だと思う? 大人と子どもが話す機会をもっと増やす必要があると思う。子ども同士で話して新しいルールを作る――例えば、チャットGPTとか新しい技術を使うルールについては、大人だけでなく、これからたくさん使っていく子どもも一緒に考えるといいんじゃないかなと思った。大人だけでルールを作ると大人の世界になってしまうけれど、子どもは子どもで新しい使い方を発見したりするので、そこは柔軟にいろいろな人の意見を聞いてほしいと思いました。 ◆高校2年 居山りねあさん(16歳) 普段できない貴重な機会で、意見を直接聞くことで、あまり思ってなかったことに気づけた。 ――どんな気づきがありましたか? 言われてうれしかった言葉について、自分は今まで意識してなかったことだったので、「生まれてきてくれてありがとう」という言葉は、すごくうれしい言葉だな…って、今回のインタビュー通してすごく感じた。嫌な言葉では「『男だから』『女だから』って言われるのが嫌だ」と言っていた方がいて、確かに自分もイメージを押しつけられるのがすごく嫌だなと共感しました。 ――大人からの嫌な言葉をなくしていくために、大人に伝えたいことは? 身近な大人とお互いに、思っていることや感じていることを正直に伝えていけたらと思います。 ◆高校2年 松尾桜歌さん(16歳) 街頭では同世代だけでなく、大人にもインタビューしていろいろな年代と話せてよかった。大人の話を聞いて、私が思っていたことと大人が思っていることは結構違っていたことに気づきました。私は嫌だと思っていたことも、大人は自分のために思って言ってくれていることもあるんだなぁ…と。 ――具体的には、どんなこと? 「『勉強しなさい』とか、本当は言いたくない」と話していた親がいたけれど、私はそういうのをわかっていなかったし、自分の親もそう思っていたのかな…って。街頭インタビューで、親の考えていることがわかって良かった。 ――嫌だなと思うことを減らすためには、どうしたらいいと思う? 親の立場に立って考えてみる。一回、「大人はなぜ、それを言ってくるのか」を考えてみるといいのかなって思った。