立憲、維新、国民民主…野党3党の「微妙に複雑な関係」で最も得する意外な人物、勢いは国民民主にあるが
だが玉木氏らは必死だ。衆院選での躍進ブームは永続するものではない。少なくとも次期参院選につなげるためには、党是とする「対決より解決」を示し、成果をもぎ取る必要がある。 その逸る気持ちは、「解決のための対決」にもなりかねない。実際に「103万円の壁」をめぐり、自公と国民民主党は12月11日に「178万円を目指して、来年から引き上げる」との合意文書に署名したものの、その2日後の3党税制調査会長協議で自公側が「123万円」を提示したことを、国民民主党が「約束とは違う」と大反発している。
国民民主党の古川元久税調会長は17日の税調会長協議で、開始10分で席を立ち、22日のBSの報道番組で「本当にやる気があるのか」と減税に頑なに反対の党税調を擁する自民党の姿勢を大批判。このままでは年明けの通常国会で本予算に賛成せず、内閣不信任決議案にも反対しない可能性をも示したほどだ。 ■維新にそろり近寄る自公 それを横目に自公は維新と接近。13日に2025年度予算案をめぐって国会内で協議し、2025年度の「予算編成大綱」に少子化対策として「多子世帯の学生などに対する授業料などの減免を拡大する」との文言を盛り込んだ。
もともと維新は自民党と近く、安倍晋三政権時にはそれぞれのトップ2がしばしば食事を共にした。菅義偉政権時ではIRや大阪万博を推進するなど、自維の関係はハネムーン状態といえた。 しかし馬場伸幸代表時代以降は、そうした関係は消失。10月の衆院選直前に維新に合流し、12月2日に共同代表に就任したばかりの前原誠司氏も、19日の会見で「我々は天秤にかけられるつもりはまったくない」と自民党と一線を画することを宣言した。
むしろ、「我々は国民民主党の年収の壁の引き上げについては大賛成であるし、それを邪魔するつもりは毛頭ない」と国民民主に対する理解を示した。 そもそも前原氏は2023年末まで国民民主に所属し、代表代行を務めたが、2022年度本予算案に賛成するほど自民党に近寄った玉木氏の方針に反発して離党。1993年に国政に進出して以来、「自民党に代わるもう1つのかたまりを作る」という持論を捨てていない。 これは松下政経塾の先輩でもある立憲民主党代表の野田氏の「非自民・非共産の大きなかたまりを作りたい」という考えに相通ずる。実際に前原氏は今年9月、野田氏が立憲の代表選に勝利した時、「薩長同盟が進むことを期待したい」と秋波を送っている。