「嵐」「キンプリ」「松潤」… 旧ジャニーズタレントが続々と新会社を設立するワケ【登記簿から読み解く】
株式会社を設立するメリット
しかし、こうして所属タレントが、古巣の芸能事務所と関係を持ちながら、株式会社を設立することには何のメリットがあるのか。法曹関係者が解説する。 「一般的に、個人事業主が株式会社を設立するメリットには以下の3つがあると言われています。 (1)個人で活動するより社会的信用度がアップする。 (2)株式を発行することで資金を集めやすくなる。 (3)事業がうまくいかなくなった場合でも出資額を超えた損失は負わない。 株式会社は登記さえすれば、資本金1円でも設立できますが、今回の3つの会社はともに資本金を数百万円で設定しており、今後、事業の拡大とともに増額していくことが予想されます。それぞれスタート社とは細かな話し合いが行われた末での決断だと思いますが、嵐が決意表明したように、〝エージェント契約〟として、スタート社との関係は保ちながら、より自立的で、主体的な活動をしていくことが目的だと思います」
新会社設立は双方にとって都合が良い!?
さらに、旧ジャニーズ事務所のタレントにとって、新会社を設立しスタート社と距離をおくことには、また違ったメリットがあるという。夕刊紙芸能担当記者の話。 「いまだ故・ジャニー喜多川前ジャニーズ事務所社長による性加害問題は終結にはいたっていない。先月5月には、国連の人権作業部会は、SMILE-UP.社が被害者への補償金の支払いを進めている点について『努力は認める』としつつも『救済を求めている被害者のニーズを満たすにはまだ遠い』と厳しい見解を示しています。国際的な世論においては、まだ旧ジャニーズ事務所の性加害問題は終結していないのです」 こうした中、NHKの稲葉延雄会長は5月22日の定例会見で、現在、ストップしているスタート社の所属タレントの今後の起用について、「被害者への補償や再発防止策が確実に実施されていることが確認されるまでは当面、新規の出演依頼は行わないという方針に変わりはない」と厳しい姿勢を示している。 「海外進出を果たしている企業のCM出演や、NHKなどへの番組出演において、旧ジャニーズのタレントは、現時点では、スタート社とは距離を置いておいたほうが今後の活動のためには都合がいいという判断が働くのでしょう。〝自分はスタート社に所属しているのではなく、あくまで対等な関係のエージェント契約である〟ということを内外にアピールするためには、新会社を設立することは非常に都合がいいんです。ということで今後もこの流れは続くと思いますね」(前出=夕刊紙記者) スタート社と袂(たもと)を分かつという極端な選択には至らずとも、タレント、スタート社双方にとって都合のいい新会社設立の流れは今後も続きそうだ。
中原 慶一