JR全体を乗っ取る陰謀⁉...「脱税から横領まで」革マル派・松崎明の黒すぎる「真の」狙い
安倍元首相が国士と賞賛した葛西敬之が死の床についた。政界と密接に関わり、国鉄の民営化や晩年ではリニア事業の推進に心血を注ぎ、日本のインフラに貢献してきた。また、安倍を初めとする政治家たちと親交を深め、10年以上も中心となって日本を「事実上」動かしてきた。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 本連載では、類まれなる愛国者であった葛西敬之の生涯を振り返り、日本を裏で操ってきたフィクサーの知られざる素顔を『国商』(森功著)から一部抜粋して紹介する。 『国商』連載第28回 『鉄パイプで滅多打ちに...「両手両足粉砕骨折」虫の息に追い込まれた「革マル派」佐藤政雄が狙われた「残酷な」理由』より続く
全国のスト権を吸い上げようとした
重体に陥った佐藤はそこから奇跡的に回復した。この中核派との内ゲバ闘争事件により松崎と佐藤の絆が以前にもまして固く結ばれたのはいうまでもない。松崎は民営化後、国鉄時代の動労新幹線地本を率いた佐藤をJR東海に送り込んだ。と同時に、佐藤はJR総連傘下のJR東海労組委員長に就き、民営化後の組合運動を担うようになる。 ちなみに国鉄時代の動労グループには、組織の資金を管理する「動力車福祉事業協会」なる財団法人が存在した。ここが動労の解散とともに「日本鉄道福祉事業協会」と改められ、表向き目黒さつき会館などの運営をはじめJR総連の福利厚生事業をおこなうこととなる。もっとも通称「鉄福」と呼ばれるこの財団法人には裏の機能があった。動労時代から組合員の会費や寄付を管理し、それがのちに松崎個人の蓄財として発覚する。 松崎はハワイのコナに高級コンドミニアムを購入し、沖縄・今帰仁にも別荘を建て、それぞれで優雅な休暇を過ごしてきた。一見労働貴族のプライベートな蓄財に思えるこれらの不動産を鉄福が所有し、松崎個人の財産とは切り離されてきた。つまり松崎は鉄福を隠れ蓑にして個人の資産を築き、労組の資金を私物化してきた。佐藤は85年にこの財団の理事となり、98年には理事長に就いた。松崎にとって佐藤は「黒い財産管理」を任せられるほどの存在だったといえる。