入れるだけで2.7馬力増!モチュールの300Vが11年ぶりに全面刷新された【新オイル詳細解説】
キーマン直撃、保護性能と摩擦低減を両立するESTERCore®(エステルコア)®テクノロジーがキモ
モチュールはフランスのブランドながら、二輪用の300Vは日本の新井氏が開発している。新井氏は工学博士で、20年以上モチュールオイルの研究開発に携わり、モータースポーツの最前線でエンジンオイルを日々開発している人物だ。 ここからは新生300Vの詳細を新井氏に訊いてみたい。 まず“エステルコア®テクノロジー”とはどんな技術なのだろうか? 「エステルという化合物を中心に、他のベースオイルと組み合わせて、最も用途に合った性能を出せる配合技術のことです。同じ調味料でもその使い方・量によって料理の味が変わるように、たとえおなじ原料を使用してもその配合比率で達成できる性能は大きく異なります。したがって、原料の選択とその配合比率は目的により変わります」(新井氏 以下同) エステルという化合物は、オイルの性能を決める上で非常に重要。モチュールではエステルの使い方のノウハウ、構造を含め、2輪のエンジンに最も合う配合としているのだ。 オンロード用の新300Vについてポイントを訊いてみた。 「エステルコア®テクノロジーそのものが持っているエンジンを保護する性能、それから摩擦力を下げて出力を出す性能を追求しました。この両方に対して一つ一つの原料が出力に与える影響を丹念に吟味し、新しいエステルコア®テクノロジーとして造り上げています。ここにもヨシムラからのフィードバックがかなりあります。 エンジン保護性能が格段に上がり、その取り分を低摩擦性能に振り分けることが可能になりました。その結果、高回転域や最高出力付近での出力向上を達成したのです」 新井氏によると、モータースポーツ用オイルに重要なのは「摩擦を減らすことと、力の伝達を増やすこと」の2点という。 「摩擦係数を下げる、あるいは粘度を下げるとエンジンダメージにつながります。しかし、エステルコア®テクノロジーを使えば、摩擦力が上がらずエンジンにダメージを起こしません。そして、エンジンの燃焼室の力をできるだけコンロッドに伝えられることが重要です」