【ONE PIECE考察】天竜人の危機で最後に笑うのは? 前代未聞の緊急事態に伴う“最悪の可能性”
※本記事は『ONE PIECE』最新話の内容に触れる部分があります。連載を未読の方はご注意ください。 【写真】『ONE PIECE』著者・尾田栄一郎の机とネーム用紙 ルフィがエルバフで新たな冒険を始めた『ONE PIECE』だが、彼が関与していない場所でも事件は起きている。常に威張り散らし我慢など知らない天竜人が、革命軍の作戦によって食糧不足に陥っているのだ。 未曾有の事態に慌てる世界政府に、それを見張る黒い影。今回は中枢を襲う危機とそれに伴う最悪の可能性について、ワンピース研究家の神木健児氏に話を聞く。 「世界の中枢で起きている前代未聞の事件といえば、天竜人を襲う飢饉でしょう。現在のマリージョアは、天竜人でさえ食べるのを我慢しなくてはならない食糧不足に陥っています。その理由は、革命軍の兵糧攻めです。革命軍の敵であり、彼らが滅ぼしたいのは海軍などではなくあくまで天竜人。総本部を突き止められ黒ひげ海賊団に攻め込まれるなどの危機はありましたが、革命軍の戦力はほとんど削られていません。彼らの狙いは、飢饉により天竜人を弱らせた後に攻め込み討つことだと思います。マリージョアや革命軍の現状を考えると、今のところ彼らの作戦は順調といえますよね」 しかし革命軍と天竜人の戦いを、陰から見張る不穏な存在がいる。 「食糧供給を止めている革命軍の動き、そして食糧不足によって荒れる中枢を見張っている組織があります。それが黒ひげ海賊団です。ラフィットは食糧不足に喘ぐマリージョアを見張りながら、何かの“準備”を進めている様子。現在のマリージョアの第一優先事項は、食糧を安定的に搬入することだと思います。つまり、運べるタイミングがあればどんどん運び入れる、普段と比べてガードが緩い状況にあると思うんです。その混乱とガードの緩さに乗じて、黒ひげ海賊団は全員で中枢に乗り込む計画を立てているのかもしれません。25巻でラフィット1人が中枢に侵入する姿が描かれていましたが、やはり全員となると話は別でしょう。ハチノスには多くの海賊がおり、黒ひげはその熱狂が冷めないうちに行動を起こそうと考えています。これだけの量の興奮した荒くれ者が侵入すれば、まさにマリージョアを襲う世紀の大事件です」 マリージョアに侵入することが黒ひげ海賊団の企みか。その肝は、エッグヘッドに現れた女海賊のある行動だと神木氏は続ける。 「黒ひげ海賊団には、他人に化けられるカタリーナ・デボンがいます。彼女はわざわざエッグヘッドに現れ、“任務”を遂行しサターン聖に触れているんですよね。これからの作戦で、彼女がサターン聖に化ける必要があるのだと思います。五老星はともかく、他の天竜人はサターン聖の死を知らない可能性も高いです。そうなると、マリージョアに乗り込んだ後にサターン聖に成り代われば、本当になんでもできてしまいそうですよね。 天竜人相手には、食糧不足とサターン聖への変身というカード。そして黒ひげ海賊団は、海軍に対して人質ガープというカードも持っています。もちろんガープ自身や海軍全体として、ガープのために他を危険に晒す選択はしないでしょう。しかし、ガープの存在は確実に海軍内に不安と分裂を招きます。その綻びを、黒ひげは見逃さないと思います。そう考えると、黒ひげは世界を手に入れるためのカードを、着々と集めているような気がしますよね」 着々と準備を進める黒ひげは、最終的にどこまで到達するのだろうか。 「黒ひげは自身の目的を、海賊島を世界政府加盟国『黒ひげ王国』にすることだと語っていました。しかし、その目的はあくまで夢の道中にある第一目標だと思うんです。彼の真の夢は、世界の王になることだと思います。現在、世界の王といえるのはイム様でしょう。世界の王になるためには、イム様を倒す必要があります。もし黒ひげがイム様を本当に討ち、“虚の玉座”にさえ座ってしまったとき。黒ひげは自身の能力や強さに加えイム様の能力も手に入れた、世界を統べる最強最悪の敵としてルフィの前に立ちはだかるかもしれません」 ルフィの前に最後に立つ、ラスボス候補の筆頭として挙げられることが多い黒ひげ、マーシャル・D・ティーチ。最後に現れる彼は、我々が想像しているよりも最悪の存在になっているのかもしれない。
青木圭介