ロシア軍の「亀戦車」、ついにFPVドローンにもやられてしまう ウクライナ側の進化速く
亀戦車が適応していた「状況」が変わった
また、ウクライナ側が砲弾やミサイルの代わりにFPVドローンに頼らざるを得なくなるなかで、亀戦車は当初、実際に有効でもあった。ロシア軍の部隊を先導して地雷原を越えさせ、ウクライナ側の陣地を攻撃させるのに成功したことが何度もあった。 とりわけ、バフムートの西のチャシウヤール方面の作戦で亀戦車は精力的に働いた。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は「ロシア軍は、追加防護のために金属板を溶接した戦車や装甲車両を用いることが多くなっており、(中略)明け方や夕暮れに頻繁に攻撃している」と報告している。 米シンクタンク、外交政策研究所のシニアフェロー、ロブ・リーは、亀戦車について「嘲笑する人がいるのは知っているけれど、わたしはおかしな適応だとは思わない」と述べていた。「ロシア側は、ウクライナ側にFPV(ドローン)はたくさんあるがATGM(対戦車誘導ミサイル)や対戦車地雷、砲弾は不足しているという、戦場の特定の状況に適応しているのだ」 だが、その状況は変わっている。米議会のロシアに融和的な共和党議員らによるウクライナ支援の妨害は4月下旬に終わり、以後、米国防総省は数回にわたり大量の砲弾や対戦車ミサイルをウクライナに送った。またウクライナは、大きめのFPVドローン向けにより重い弾薬を開発した。それには、スウェーデン製の対戦車ミサイルを参考に、下向きに爆発するようにした弾薬もあるようだ。 5月上旬には、ウクライナ軍の旅団は以前より破壊力を格段に高めていた。そして、亀戦車ははるかに破壊されやすくなった。複数の亀戦車が大砲やミサイル、数珠つなぎにされた地雷、大きめのFPVドローンを食らい、破壊されている。ある有名な亀戦車は立て続けに地雷を食らい、乗員は脱出したようだが焼損している。 T-62から砲を取っ払った亀戦車はFPVドローンで仕留められた。このドローンが新たな重量級の弾薬を搭載していたのか、それともたんに運がよかっただけなのかはわからない。ともあれ、その死は亀戦車全体の衰退を早めることになるだろう。
David Axe