ロシア軍の「亀戦車」、ついにFPVドローンにもやられてしまう ウクライナ側の進化速く
ロシア軍の「亀戦車」は進化を続けている。しかしその進化のスピードは、ウクライナ軍の破壊力を増すFPV(一人称視点)ドローンなど、重量級の弾薬の餌食になるのを逃れられるほど速くはない。 重量37t、乗員4人のT-62戦車をベースにしたある亀戦車は、4月上旬にウクライナ東部の戦場に初めて出現したこの新種の改造車両のなかでも、最も進化したものだったかもしれない。 ロシア軍の第20親衛自動車化狙撃師団に所属しているとされるこの亀戦車は、ドネツク市のすぐ西の廃墟化した都市マリンカの周辺に出没し、地雷除去任務で活躍してきた。甲羅のような追加装甲が功を奏し、ロシアのある軍事ブロガーによると「10発の直撃」を生き延びたこともあった。 直撃したのが何だったのかは不明だが、いずれにせよこの亀戦車は先週末に運が尽き、マリンカ近郊でウクライナ軍によって爆破された。 ほかの亀戦車と同様に、この亀戦車も屋根材を転用したとみられるドローン対策用の追加装甲を何重にもまとい、車体前方に地雷を安全に起爆させるローラーを備えていた。 他方、この亀戦車はほかの同類と異なり、砲、というより砲塔全体が取り外されていたようだ。そうするのは理にかなっている。というのも、亀戦車は基本的に戦闘車両というより地雷除去車両であり、地雷だらけの中間地帯を突き抜ける突撃部隊を先導する車両して使われているからだ。 そもそも砲塔に金属製の甲羅をかぶせると、その支柱のせいで砲塔はろくに回転できず、さらに乗員の視界も遮られ、ほぼ前方しか見えなくなる。地雷除去車両としてはともかく、これではもはやほとんど戦車の体をなしていない。 亀戦車は最初に確認されてから6週間のうちに、ロシアがウクライナで拡大して2年3カ月たつ戦争の1000kmにおよぶ戦線のあちこちに姿を見せるようになった。最初の数週間は、その新奇さと、半年にわたる米国の支援停止などによるウクライナ軍の深刻な砲弾・ミサイル不足のおかげで、乗員は助けられていた。