「国民の理解得られない」立民難色で動かぬ参院憲法審 定例日変更で打開目指すも視界不良
参院の憲法論議が「停滞」から抜け出せずにいる。もともと衆院に比べて「周回遅れ」と指摘されていた中、24日に閉会した臨時国会で、参院憲法審査会が実質審議を行う機会はなかった。開催機会を増やそうと、自民党は来年の通常国会を念頭に参院憲法審の定例日変更などを模索するが、党内や支持層に護憲派を抱える立憲民主党は難色を示している。 先の臨時国会中は、11日に参院憲法審の運営方針などを協議する幹事懇談会が開かれたが、実質審議を伴う憲法審の開催は実現しなかった。一方、定例日開催が定着している衆院側では19日の憲法審で本格審議を行った。 11日の参院憲法審の幹事懇では、毎週水曜の定例日の変更案が提起された。自民は、参院の日程に比較的余裕があり、議員が出席しやすいとして金曜や月曜への変更を想定している。「弾劾裁判の開催日は憲法審を開かない」といった参院独自の慣例などで開催できなかったことへの反省がある。参院自民の重鎮は「このままでは参院側の意欲が疑われてしまう」と懸念を口にする。 もっとも定例日を変えるには各党の幹事や国対委員長による合意が必要となり、ハードルは高い。 金曜や月曜は地元や国会への移動に充てる議員が多いとして、参院立民関係者は「常識的に開催は厳しい」と強調。「憲法改正に緊急性はない。変更する必要はない」と一蹴する。 自民が参院憲法審の開催を重視する背景には衆院憲法審との兼ね合いもある。 衆院では自民や日本維新の会、国民民主党などが緊急時の国会機能維持の観点から、議員任期延長を含む緊急事態条項の新設で足並みをそろえる。一方、参院憲法審では現行憲法に規定されている「参院の緊急集会」の活用を訴える声もあり、結論は出ていない。 参院側の議論が衆院側に追いつくには、憲法審の積極開催が必要になる。自民幹部は「(定例日変更などで)憲法審を開催しやすい環境を整えることは議会人として当然だ。立民の主張は国民の理解を得られない」と牽制する。(末崎慎太郎、内藤慎二)