男性用避妊ジェルの治験で有望な結果、便利で確かな避妊法候補 「ようやく手が届きそう」
男性は新しい避妊法を使うのか
「男性は避妊法を使わないだろうという固定観念があり、女性は男性を信用しないでしょう」とバーダット氏は言う。 しかし、2022年9月に開催された世界保健機関(WHO)のウェビナーで共有された調査では、その固定観念が完全に正しいと言うわけではないことが示唆された。 女性と性行為を行う男性5000人を対象とした世界的な調査により、多くの男性が避妊法を試すことに関心があることがわかった。最も関心が低かったのは米国で、約40%の男性が今後1年以内に避妊法を試してみると回答した。最も熱心だったのはナイジェリアで、80%近くの男性が新たな形の避妊法を使うことに関心があった。 調査を行ったのは、コンサルティング会社ディザイヤーラインの専務取締役であるスティーブ・クレッチマー氏だ。氏によると、女性の避妊がすでに普及している国では、男性は避妊にやや関心が低かったという。しかし、全体としては、調査対象となった全ての国で、男性の関心は時間とともに高まっていた。 また、各国の女性の過半数が、男性パートナーが避妊をしていると伝えてきたら、それを信じると答えていることもわかった。 バーダット氏は、これらの新たな避妊法の登場を待ち望んでいる。これらの避妊法は長年の夢だった生殖技術の進歩なのだ。氏の仕事仲間は、男性の避妊法は「50年間いつもあと2、3年でできると言い続けてきた」というジョークが飛び交っているそうだ。しかし、ようやく手が届きそうな気がしていると氏は補足する。 男性の避妊法が普及したら、性に関する考え方や誰が責任を負うのかが劇的に変わることを、バーダット氏は期待している。 「私たちは、単に男性を避妊する存在として考えているわけではありません。それは女性の自立と同じ意味なのです」と氏は言う。「男性の避妊はゲームチェンジャーになると確信しています」
文=SARAH GIBBENS/訳=杉元拓斗