鎌倉文学館の公開再開、2029年に延期 休憩所新設など計画変更が影響
鎌倉三大洋館の一つにも数えられ、老朽化のため2027年3月まで休館としていた鎌倉文学館(鎌倉市長谷)について、市が工期延長などで再開時期を29年4月に延期する方針であることが20日までに分かった。新たに公開する本館3階部分の傷みが激しいことに加え、当初予定していなかった別棟の休憩所スペースを新設するなどの計画変更が影響した。 【写真で見る】バラ園も見どころだった鎌倉文学館 旧加賀藩主の前田家が1890年に保養のために別荘地を購入し、現在の文学館本館は1936年に建築された。鉄筋コンクリート造と木造を組み合わせた3階建て(延べ床面積1030平方メートル)は和洋折衷の外観が特徴で国有形文化財にも登録されている。 佐藤栄作元首相が在任時に別荘にして、本館で演説の練習に励んだとも伝えられ、三島由紀夫の小説に登場する別荘のモデルにもなった。前田家から83年、市に寄贈され、85年に文学館として開館した。庭園はバラの名所とも知られ、市所有の博物館施設では最多の年間10万人が訪れるなど観光客に親しまれてきた。 一方で書斎やバルコニーのある3階は開館時からすでに老朽化も進んでおり、長らく非公開としてきた。建築から80年以上が経過し、市は3階の公開やバリアフリー化を目指して大規模改修を決め、23年4月から文学館を休館とした。
神奈川新聞社