野村克也が語る「大成する選手とは?」
ベンチの“ヤジ将軍”はチームの貴重な戦力
若手のころの宮本も私と同様、他選手が遊びに行く中、バットを振り続けたという/写真=BBM
元南海ホークス・大塚徹の訃報が届いた。私よりまだ一回り下。早過ぎる。何もできないが、弔電だけは送っておいた。 大塚は1972年のオフ、『トレード会議』で国鉄から南海にやってきた。『トレード会議』は巨人V9真っ盛りの70年代初頭、12球団の戦力均衡を図る目的で行われた。出番のない選手にチャンスを与えるため、各球団が保有選手の20%をリストアップして提出。それを各球団がウエーバー方式で指名していくものだった。あれはまさに、“捨てる神あれば拾う神あり”のいいシステムだと私は思っていたが、どうしたわけかすぐなくなってしまった。 大塚の出番は、主に代打。しかし彼はそれ以上にベンチでの“ヤジ将軍”として名を上げていた。まず、元気がいい。そして、センスがいい。以前、このページでも紹介したかもしれないが、秀逸だと思ったのは、相手投手を打ちあぐんで味方ベンチが暗くなっていたときの、このひと言だ・・・
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週刊ベースボール