体温より低い“ぬる湯”で長湯するのが伝統的な入浴法! 食事と温泉も地産地消 湯治場の風情を残す「栃尾又温泉」とは
400年以上の歴史を持つ「栃尾又温泉 自在館」。現代湯治がコンセプトの温泉宿
温泉好きの私にとって、温泉旅行最大の楽しみは、やはり「温泉」に入ることです。 周囲の友人に話を聞くと、温泉よりも「食事」を楽しみにしている、と答える人も多くいました。「温泉」と「食事」は、温泉旅行の楽しみツートップですね。その土地ならではの食材を使った料理や名物を嗜み、その土地から湧く温泉につかる。想像するだけでも癒やされる思いです。 【画像】新潟県魚沼市に湧く名湯 「栃尾又温泉」ってどんなトコ? 写真で見る(16枚) 今回は、新潟県にある「栃尾又温泉 自在館」を紹介します。古くから湧く薬効高い温泉と、地元の食材をふんだんに使用した食事が魅力の温泉旅館です。
新潟県魚沼市に湧く、栃尾又温泉。旧湯之谷村の谷沿いに位置し、周辺の大湯温泉や折立温泉、駒の湯温泉などとともに「湯之谷温泉郷」と呼ばれ、その一角をなしています。 アクセスは、上越新幹線の浦佐駅から車で40分ほど。新幹線を利用すれば、東京から最短2時間強で訪れることができます。 開湯は諸説ありますが、西暦700年ごろ、行基により発見された伝説が残り、江戸時代から湯治場として親しまれています。現在は3軒の宿と、3軒の共同浴場がまとまった温泉街で、歓楽的な要素はなく、湯治場の風情を残す静かな雰囲気の温泉地です。 「自在館」は、3軒残る栃尾又温泉の宿のひとつ。約400年の歴史を誇る湯治宿で、館内は上品だけれど気取らない、人のぬくもりを感じられる落ち着いた雰囲気です。「現代湯治」をコンセプトに、13時チェックイン、11時チェックアウトでゆったり過ごせることや、健康的な食事、かけ流しの温泉など、心身を癒すためのこだわりが随所に見られます。
館内には3か所の「貸切風呂」! 山の景色と、かけ流しの温泉をひとり占め
栃尾又温泉の宿は、基本的には館内にお風呂は持たず、3軒ある共同浴場をみんなで利用するスタイルです。その中で自在館のみ、旅館内にお風呂を持っています。 自在館のお風呂は、貸切露天風呂「うげつの湯」、貸切風呂(内湯)「たぬきの湯」、貸切風呂(内湯)「うさぎの湯」の3か所。すべて予約貸切制で、受付近くに掲示された予約表の空いている時間に名前を書き込み、鍵をとってお風呂へ向かいます。 1回の利用時間の45分で、他のお客さんを気にせず温泉を楽しむことができます。私は、すべて1人で利用しましたが、どのお風呂も広々としていて、山々の景色も素晴らしく、ここを単独で貸し切っていることに対して、贅沢に思う反面、申し訳ないような後ろめたいような気持ちもありました。 お湯は無色透明で、あきらかに水道水とは異なる、ミネラルを感じるワイルドな香りがただよいます。とはいえ、クセのないやさしい浴感で、ほんのりツルスベする肌触りを感じられます。源泉の湯温が30度弱とぬるいため、40度前後まで加温をして湯船に供給していますが、加水や循環、消毒は一切ない「かけ流し」です。