アイマスにFGO…大手スマホゲームが続々と“独自決済”を導入するワケ Apple税回避で好影響与える兆しも
ここ最近、スマートフォンゲームにおいてストア手数料を低減することなどを念頭に独自決済による課金システムを導入する事例が増えている。直近ではバンダイナムコやアニプレックスといった大手パブリッシャーもこの取り組みを始めた。 【画像】大手タイトル「FGO」も導入…ベンチャーは費用削減の可能性を示唆
アプリゲームで独自決済導入の動き
まず、バンダイナムコエンターテインメントは過去2ヶ月間でスマートフォン向けに展開する「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for You」2作品に独自の決済システムを導入した。同社の運営するECプラットフォーム「ASOBI STORE」を通じてゲーム内アイテムを購入できるようになるもので、購入処理は同社代理店が行っている。 そして、アニプレックスも人気ゲーム「Fate/Grand Order」で同様の取り組みをスタート。7月19日から、アニプレックスの公式サイト「アニプレックス オンライン」でゲーム内アイテムを購入できるようになった。 このような動きの背景には、アプリストアの高額な手数料問題が存在する。AppleのApp StoreやGoogleのPlayストアでは、アプリ内課金で得られる売上から「決済手数料」との名目でいずれも30%程度が差し引かれる仕組みになっており、しばしば「Apple税(Apple Tax)」などと称される。
すでに実質手数料を減少見込みも
これはアプリ開発者やメーカーにとっては当たり前である傍ら、痛手であることは変わりない。2020年以降は両ストアで「年間収益が100万ドルまでの場合は手数料が15%」という小規模事業者の支援制度も設けられているが、これを上回る大企業は30%据え置きとなる。 そして、この高い手数料を回避するために、外部決済システムを使った「アプリ外課金」を行う事例も多い。例えばアマゾンの場合、電子書籍サービス「Kindle」がスマホアプリ版で購入不可能だったり、月額会員の登録をできなくしたり…などなど。こうした動きが大手パブリッシャーを中心にスマホゲーム業界でも進みつつあるようだ。 独自決済を導入する取り組みとして、具体的な数値を提示している企業も。ゲームの企画開発を行うバンク・オブ・イノベーションは今年5月、自社タイトル「メメントモリ」において「APK版」と呼ばれる新バージョンの配信を開始した。 APKとはAndroidスマホに任意のアプリをインストールできるもので、一般的なストアアプリ版と異なりGoogleが定める規制を考えなくて良い。同社はこのAPK版の提供によりプラットフォーム手数料が実質的に30%→25%になると13日発表の決算資料で伝えており、利益獲得の機会損失の低減が見込まれる。
多額の還元でユーザーにも恩恵
さらに、この動きはユーザーにとっても大きなメリットがある。先に挙げたタイトルを含む、多くのゲームでは「課金額に応じて5%~10%ボーナス」などの還元制度を導入。たとえ10%を購入者に充てたとしても、本来のストア手数料30%よりも大幅に抑えられる。 これにより、ユーザーはより多くのアイテムを手に入れることができ、パブリッシャーも利益を確保できるウィンウィンの関係になる。現状としては「『外部で決済してください』とアプリ内で記載してはいけない」などとストア側の規制があるが、より導入事例が増える可能性もある。
編集部テクノロジー情報班