「力による平和」尹・トランプのシンクロ率は高いが…ターゲットは全く違う(1)
マイク・ウォルツ〔大統領補佐官(国家安全保障担当)〕-ピート・ヘグセス(国防長官)-マルコ・ルビオ(国務長官)の指名が順次完了し、トランプ第2期の外交安保の陣容が整った。韓国の立場では尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府との「シンクロ率」がカギとなるが、強硬論者に分類される忠誠派の軍人を重用して「力による平和」を旗印とするなど、大きな枠組みで類似性があるとの分析だ。 ◇3人衆を指名して「力による平和」 トランプ氏は国家安保のトップ3人衆を指名して「力による平和(Peace through Strength)」を共通して強調した。指名と受諾声明で、彼らは「力による平和の擁護者(champion)になる」「米国の利益を何よりも優先する」と一様に述べた。トランプ氏が第1期時から強調した「力による平和」は7月大統領選挙を控えて公開された共和党の政治綱領にも大きな比重で含まれ、トランプ第2期の外交を引っ張る最も強力なスローガンになる展望だ。 「力による平和」の元祖はロナルド・レーガン元米国大統領で、簡単に言えば国防力強化を通じて相手を抑制するという方法で平和を維持するという構想だ。尹政府も発足直後、北朝鮮に対する強力な抑止力を強調してこれを核心の北朝鮮対策の基調とした。トランプ氏と尹大統領はともに「現状変更勢力」に対しては圧倒的な力の優位で相手にするという共通した信念を持っている格好だ。 しかし力による平和を投射する対象においては違いがある。米国は強力な軍事力を基盤とした中国の抑制を、韓国は拡大抑止強化による北朝鮮の抑制に傍点を置いている。 韓半島(朝鮮半島)の地政学的特性上、中国抑制と北朝鮮抑制は相互に関連する側面はあるが、韓米間の傍点を置くターゲットが違う場合、互いに行き違いが生じる場合もあるとの懸念も提起される。北朝鮮の核に対応するための共同演習と戦略資産の配置などの措置を一部では中国を狙う動きと解釈することも同じ脈絡だ。実際、最近韓米日安保協力目標も当初の北核対応からさらに踏み込んで中国牽制まで包括するような姿を見せている。 ◇ターゲットは「同床異夢」…価値外交に隔たりも 特に最近、韓中関係を本軌道に乗せるために注力している尹政府ではジレンマが深まる可能性があるとの指摘だ。同時に尹政府の外交を支えるもう一つの軸は「価値観外交」であるが、これはバイデン政府とは接点を結んだが、トランプ政府とは特別なシナジーを出すことができないのではないかという心配もある。 西江(ソガン)大学国際大学院のキム・ジェチョン教授は「トランプ氏の外交安保参謀は中国に対して、尹政府は北朝鮮に対して『圧倒的な力の優位』を強調している」とし「基本的に狙っている対象が違う点を注意深く確認しなければならない」と指摘した。あわせて「尹錫悦政府がバイデン政府と歩調を合わせて強調してきた自由、民主主義などの価値に対してもトランプ氏は高い比重を置いていない点も大きく変わる部分」と説明した。