リドリー・スコット監督、デンゼル・ワシントンへの厚い信頼『グラディエーターII』でも「あまりにもうまい」
それだけに、デンゼルに寄せる信頼は絶大。本作の予告編が公開された際には、デンゼルのニューヨーク訛りのセリフ回しが一部で話題になったが、スコット監督は「なるべく訛りを抑えるようにと言うこともできただろうが、この映画の舞台はなんと言ってもローマ帝国が舞台だ。(だからといって)イタリア訛りで話してもらうのも見当違いだ。結局、デンゼルはあまりにも(演技が)うまいので、彼の訛りなんてどうでもよくなる。だからそのままやらせたんだ」と語る。
もちろん、主人公ルシアスを演じたポール・メスカルのことも絶賛。「ポールの演技を初めて見たのは、『グラディエーターII』に取り掛かる前のことだった。偶然、(ポールが出演するドラマシリーズ)『ふつうの人々』を観たんだ。不思議なことに、彼が(アイルランドの名優)リチャード・ハリスを彷彿とさせる役者だと気づいた。アイルランド語には『巧みな演技』を意味する表現があると聞いたことがあるが、どうしてアイルランド人はあんなにも演技がうまいんだろうね?」というスコット監督は「その後、『グラディエーターII』の脚本を進めていくうちに、ルシアスの顔としてポールが浮かび始めたんだ。『ルシアス役をやってみるかい?』と本人に声をかけたら、『もちろんだ!』と二つ返事だったよ」と経緯を明かす。 そんなポールの魅力について、彼の舞台経験をあげたスコット監督は「私自身はあまり舞台を鑑賞しないのだが、役者を起用する時は、舞台役者としての技量を持つ人を起用しがちだ。ポールもそんなうまい舞台役者の一人。だから、大きい芝居もちゃんとできる」と語ると「ポールは今も舞台で土台を築いている。『グラディエーターII』の撮影後にも舞台に戻っていったくらいの生粋の舞台役者だし、役者生命も長いことだろう」とこれからの活躍にも太鼓判を押していた。(編集部・入倉功一)