堀井美香が語る、自分の「好き」を突き詰める尊さ。つらいことも「いつか、すべて自分の糧になる」
50歳を超えた堀井が語る、年代ごとの悩みとの向き合い方
─50歳を越えた堀井さんの活躍は女性のロールモデルとして非常に励まされる反面、メンタルが落ちているときには堀井さんの姿が眩しすぎて卑屈になってしまうことがあるのですが、どうしたら良いでしょうか? また、年下の女性にキャリアについてお言葉をいただきたいです。 堀井:卑屈になるのが正常な反応だと思います(笑)。ジェーン・スーさんはプラスのオーラしか出てないですよね。「私なんか」という言葉を使わない。私はむしろ「私なんか」という言葉を使ってしまうこともあったんですが、彼女のそばにいることで強さをもらって立っていられている感じです。 私たちにももちろん、放送に乗せられない悩みはあるし、エグいくらいつらい思いもしてきてるし、重すぎて言えない、いろんな経験をしてきました。 でもそれも糧になっていて、免疫力が上塗りされていって、ちょっとのひっかき傷じゃなんともならないくらい硬さが増していっているんですよね。なので、つらくて明るいものを見ていられないときもたくさんあるんですが、5年後、10年後にはすべて自分の糧になるんだと思っています。 堀井:あと、私はすごく明るい先輩とか楽しそうな先輩をストックしています。10歳くらい上の大好きな先輩は、私たちより3~4周多くいろいろなことを経験していて、「そんなの別にどうでもないわよ」って笑い飛ばしてくれるんです。なので私もその循環のなかにいたいですね。良い先輩、明るい先輩を持つことはすごく力になると思います。 ─笑い飛ばしてくれる先輩のストックが大事なんですね。 堀井:いま70代中盤くらいで、ずっとご一緒している先輩はご飯に誘っても「忙しいから」ってなかなか会ってくれないんです。それで「忙しいはずないですよね?」って聞くと「取材してる」っていうんです。話を聞いてみると、どこの媒体に載せるわけでもなく、自分で調べたいから取材しているそうなんです。すごく忙しそうで何度もランチを断られているんですけど、素敵だな、私はいつそうなれるのだろうと思って。誰に見せるわけでもなく自分の好きなことを突き詰めている人って素敵で、その人はキラキラで、ついて行きたいですね。
テキスト by 廣田一馬 / インタビュー by 南麻理江、生田綾 / 撮影 by 丹野雄二