【千葉魂】自分と向き合う秋 若手の成長促す指揮官 千葉ロッテ(第446回)
北の大地でのクライマックスシリーズ・ファーストステージの激闘から2日後。吉井理人監督の姿は南国・宮崎にあった。秋季教育リーグとして行われているみやざきフェニックス・リーグを視察するためだ。 「じかに見てみたい選手がたくさんいる。映像では見ているけど直接、プレーを見てみたい」と吉井監督はその理由を話した。そして「来年の春にチャンスをあげる選手を見つけたいと思っている」と目を光らせ、18日のホークス戦(アイビースタジアム)ではベンチ入りをした。 クライマックスシリーズに出場したメンバーからは4人の選手が合流した。今年、1軍で白星を挙げるなど20試合に登板し防御率2・25の好成績を挙げた菊地吏玖投手の姿も宮崎にはある。「彼は自分のピッチングを確立しようとしている。三振を取れるピッチング。それを実戦でさらに固めた方がいいと判断した」と指揮官。119試合に出場し打率2割4分1厘、21打点、10盗塁と飛躍のキッカケをつかんだ小川龍成内野手に関しては「来年はさらに打席の中でしっかりスイングができるようになってほしいと思っている。強いスイングで二塁打を打ってほしい。その辺を意識して打席に立ってほしい」と願いを込める。 茶谷健太内野手、大下誠一郎内野手には「今年、1軍であまり打席に立たせることができなかったので、しっかりと打席に立たせながら自分の課題と向き合ってほしい」と期待を込めた。 1軍で4試合に先発をしてプロ初勝利を挙げるなど防御率1・80と好投を見せた田中晴也投手も来季に期待をかけ、課題を持って取り組んでもらっている選手の一人だ。「いいストレートを投げる投手。ただ、ランナーが出た時に球速が落ちることがあったり、走られやすくなったりと課題があるので、そこをしっかりと見つめ直してほしい」。シーズン中よりクイックスライドステップの修正を指摘しており、この期間にじっくりと向き合い、課題を改善してくれることを願っている。 同じく今季初勝利を挙げた高野脩汰投手も先発として期待をかけている投手。「この期間、長いイニングを投げてもらって自分に何が必要なのか、何ができるのかを考えてほしい。特徴的なフォームで投げる投手でストレートの質が面白い。伸びのあるストレートで彼が持つフォークとの相性も抜群。打者はなかなか攻略しづらいはず」と説明した。 「若い野手も投手もすごく生きのいい選手が多い。この期間にどんなプレーを見せてくれるか、来年に向けて成長をしてくれるか本当に楽しみ」と目を輝かせながらグラウンドを見つめる日々は続く。ZOZOマリンスタジアム、浦和球場での秋季練習もスタートした。2024年もまた悔しい形で幕を閉じた。まもなく華やかに日本シリーズが始まろうとしている中でマリーンズは地道に黙々と自己と向き合う日々を続ける。まずは自分を知る。何ができるか。そして何ができないのか。その中で見つかる課題の打破に取り組み、成長するためになにをすべきか。どう変えるべきかに頭を巡らせる。25年こそ最後の最後まで野球をするために秋の時間を大切に使う。この月は今年一年を省みる月としたい。 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)