プロ野球トライアウトでアピールに成功した人と失敗した人
投手陣に目を向けると、池田さんは「渡邊、乾という元巨人の左腕2人がワンポイントという点では面白いかなと思った」と、今季はBCリーグで投げて再オファーを待った渡辺貴洋(26)、乾の元巨人の両左腕をピックアップした。 渡邊は、元阪神の西田直斗(25)、元ソフトバンクの松本龍憲(19)から連続三振。乾は、最速が140キロ止まりで、枡田に痛打されたが、元ヤクルトの比屋根渉(31)をセンターフライに打ち取り「今日を目標に1年間、頑張ってきた」と語っていた。乾には複数球団が調査に入っているという。 乾を追いかけていた編成担当の一人は「腕が去年に比べて縦振りになって良くなっている」と評価していた。 一方、ネット裏の各球団の編成担当が厳しい評価を下したのが、成瀬、若松の2桁勝利の過去実績のある両投手だ。 成瀬は「下半身に体重を乗せて投げることを意識してからストレートが自分の感覚より行くようになっている。今日はストレートを投げることでアピールしたかった。結果的に打たれたが、腕を振って投げることできた。そこには満足している」と語っていたが、最速は133キロで、中井、西岡に連続二塁打を浴びるなど、球威不足が顕著だった。 元々、ストレートにスピードがあるほうではなく、ロッテ時代は、腕の出所がみにくい独特のフォームからストレートのキレと変化球のミックスで4年連続2桁勝利を挙げたが、ヤクルト移籍後は、3年間でわずか6勝に終わっている。 また若松も、「ブルペンでストレートがばらついたので変化球を主体にした。チェンジアップがあってこその僕」と、宝刀のチェンジアップを使い、わずか7球で3人をピシャリと抑えた。だがストレートは130キロしか出ていなかった。 「若松の全盛期は、ストレートがあるからこそチェンジアップが効いた。初見のトライアウトだと、あのチェンジアップを振ってくれるが、シーズンを通すと、ストレートがないと対応されることになる。23歳は、魅力だが、現状では厳しいね。成瀬もストレートが、あの程度では難しい」 某球団の編成の評価は辛らつだった。 2人は共にNPB球団からオファーがなかった場合、独立リーグでも野球を続けたい意向を示している。 また仙台育成の準優勝投手の元オリックス、佐藤世那(21)もサイドハンドを再びオーバーハンドに戻してトライしたが、ストレートは、マックス141キロ程度で、自慢のフォークも抜けて城所にジャストミートされていた。若さを生かした“伸びシロ”の可能性を見せることができなかった。 横浜DeNAで、2016年に62試合登板、5勝3敗23ホールドの成績を残した須田幸太(32)は、3人を完全に封じこんだが、ストレートの最速は140キロ止まりで威力に欠けた。 また29人中、最速をマークしたのが、元巨人の廖任磊(25)の152キロ。元同僚の河野元貴(27)は力負けしていた。 元巨人の篠原慎平(28)、元楽天のコラレス、元広島の辻空(24)の3人も150キロ以上をマークした。だが、コラレスは、外国人枠の問題とクイックなど細かい技術が足りない点がネックとなり、廖任磊、辻については、細かいコントロールという課題が浮き彫りになった。 篠原と河野の2人は全裸パーティーの動画投稿が問題となり、シーズン最後までの出場停止と罰金の処分を受けて、そのまま巨人を戦力外となったという経緯がある。 「巨人を戦力外になった選手は私生活も含めて身辺の調査をする必要がある」とのネット裏の声もあった。 今日から他球団からの接触が解禁される。今オフは、トライアウト合格率をアップさせることができるのだろうか。