宮﨑あおいの“ヒロイン力”が全開! 船上デート気分を味わえる『クレイジークルーズ』
盤若千弦は、坂元裕二がプロフィールをあえて書かなかった謎の人物
今作で宮﨑の演技が特に光ったのが、冲方への想いに揺れるシーン。冲方に「恋をしかけたは恋をしたと同じだからです」と詰め寄られた盤若が「出てってください」と一線を引く。その間の取り方、逡巡し苦悩するリアルな表情は実に見事であった。さらに「出てってください」と口にする際、目を伏せて冲方と目を合わせない盤若の姿がとても切なく胸を打つ。 インタビューで宮﨑は「(盤若ならそうするだろうと考え)基本、彼(吉沢)の目を見てしゃべっていた」と語っている。今まで目を合わせて話してくれていた相手が突然目を伏せて話すという切なさ、それを宮﨑は意図的に計算された細やかさな演技で表現しているのだ。(※3) 宮﨑は子役からキャリアを積んでおり、演技経験30年以上の大ベテランである。宮﨑あおいのナチュラルで観る者を引き込む演技の魅力は、子役時代からの経験において長年培ってきた研ぎ澄まされた感性に加えて、演技的な思考力の高さも持ち合わせていることからきているのだろう。 実は今回宮﨑が演じた盤若千弦は、脚本の坂元裕二が出身、職業、年齢などのプロフィールをあえて書かなかった謎の人物だ。プロフィール不詳の盤若千弦に生き生きとしたリアリティをもった演技によって息を吹き込んだ宮﨑は、さすがの実力である。 まるで宮﨑あおいと船上デートをしているような気分を味わえる本作。「恋をしかけたは恋をしたと同じ」きっとあなたも宮﨑あおいに恋をする。特に彼女のファンにとっては必見の1本だ。 冲方と盤若2人の恋の行方だけでなく、坂元裕二ならではの小気味よい会話劇、周りを固める豪華キャストが扮するチャーミングな登場人物たち、刺激的なミステリ要素、ゴージャスなセット、衣装、ヘアメイクなども見どころ。 お風呂上りにでもお酒やおつまみ、お菓子を用意して、心ときめく船旅をどうぞお楽しみあれ。 (文=おじょー) 参照 ※1. https://www.oricon.co.jp/news/2302412/full/ ※2. https://www.youtube.com/watch?v=jiIj7oYUGRA&list=WL&index=27 ※3. https://www.youtube.com/watch?v=7Qe0snsIK7s&list=WL&index=29
おじょー